第7話 「魔女のストライキ」
A) 基礎編
教科書の142ページを参照してください。[時制]を採り上げています。例文を転記します。
- 台詞例文
サマンサ: | “I love you.” |
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ダーレン: | “I love you too.” |
- 応用例文
サマンサ: | “I loved you.” |
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ダーレン(A): | “I loved you too.” |
ダーレン(B): | “Do you mean you don’t love me anymore?” |
- 台詞例文
サマンサ: | “Shouldn’t Aunt Clara be here by now?” |
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メアリー: | “She certainly should. You know, I worry about that woman every time she steps out of the house.” |
サマンサ: | “She is getting on, you know and she’s well.” |
バーサ: | “Well, let’s be frank. She’s gone a little funny and stubborn.” |
B) 発展編
第5話の翌週。ハーバード大学のキャンパス。エール大学とのディベート試合はハーバードが勝利。夜道を、トムがラドクリフ大学の寄宿舎までメアリーを送って行く

Mary: | “Now I have seen a debate match.” |
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Tom: | (浮き浮きと)“What did you like best?” |
Mary: | “When you made a rebuttal speech. You were very aggressive.”(トムがメアリーの手を握る) |
Tom: | “Thanks for coming.”(メアリーの頬にキスする) |
Mary: | (色を成し)“I did not say you could kiss me.” |
Tom: | (イラついて)“Listen, you Radcliff bitch. We met at the library. We had coffee. You have watched me debate. Now we are walking hand in hand. What else will you need to let me kiss you. Are we not friends? |
Mary: | “You listen to me, bastard. I am different from those girls you have dated so far. It takes more than friendship.” |
Tom: | (驚いて)“What is it?” |
Mary: | (見つめて)“Love” |
Tom: | “You cannot live without it. Who do you love now?” |
Mary: | (意地悪そうに)”The Beatles.” |
C) 自己練習編
- 現在があり、その前に過去があり、その先に未来があるという時間の流れは、世界共通です。異なるのは、表現方法です。英語では、話者の時間認識に基づいて、表現方法を選択します。文法上、時間の流れは時制と呼ばれます。時制は、①現在時制、②過去時制、③未来時制の3つに大きく区分されます。それぞれの時制に、進行形と完了形があります。完了形は第13話に譲ります。ここでは完了形を除いて、時制ごとに表現方法の例を示し、そのうえで自己練習方法を説明します。
- 現在時制
- この時制は、単純現在時制、現在進行形の2つに細分化できます。例を示します。日本語では曖昧な時制が、話者の時間認識に応じて、どう使い分けられているのか、確かめてください。
a) | 単純現在時制 |
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例1) | 梅雨の季節には、よく雨が降ります。 |
“It often rains during a rainy season.” |
b) | 現在進行形 |
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例2) | 今日は雨が降っています。 |
“It is raining today.” |
- 日常生活における練習方法としては、例えば学習者に毎朝運動する習慣があったとすると、つぎのような練習が可能です。
単純現在時制:“I exercise every morning.” | |
現在進行形:“I am doing radio calisthenics now.” |
(注:“radio calisthenics”はラジオ体操のこと)
- 過去時制
- この時制も、単純過去時制、過去進行形の2つに細分化できます。例を示します。現在時制と比較しながら、日本語では曖昧な時制が、話者の時間認識に応じて、どう使い分けられているのか、確かめてください。
a) | 単純過去時制 |
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例1) | 昨日、電車で、次郎君を見かけた。 |
“I saw Jiro on the train yesterday.” |
b) | 過去進行形 |
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例2) | 彼を見かけた時、自分は本を読んでいた。 |
“I was reading a book when I saw him.” |
- 日常生活における練習方法として簡単なのは、季節の振り返りです。例えば、今が秋で、海外旅行した夏を振り返ります。
単純過去時制:“I visited Paris last summer.” | |
過去進行形:“I was staying at a hotel in Paris.” |
- 未来時制
- この時制にも、will (shall)を使った未来時制、未来進行形の2つの区分があります。例を示します。現在時制、過去時制と比較しながら、日本語では曖昧な時制が、話者の時間認識に応じて、どう使い分けられているのか、確かめてください。
a) | will(shall)を使った未来時制 |
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例1) | 授業は10分後に始まります。 |
“The class will start in ten minutes.” |
b) | 未来進行形 |
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例2) | 授業では、英文法を学習します。 |
“We will be studying English grammar.” |
- 日常生活における練習方法としては、電話応対があります。
will(shall)を使った未来:“I cannot talk right now, but I will call you later.” | |
未来進行形:“I will be calling you again about this time the day after tomorrow.” |
補足説明
- 未来時制は、“will”や“shall”以外に、つぎのような語句によっても表現できます。
a) | 口語では、“be going to”によって近接未来を表現します。 |
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“I think I am going to have a cold.” | |
b) | 文語では、“be about to”によって近接未来を表現します。 |
“The sun is about to set.” | |
c) | 運動を示す動詞の現在進行形によって近接未来を表現します。 |
“What are you doing next Sunday?” | |
d) | (be+to不定詞)によって、予定とか手はずを表現します。 |
“What part am I to play?” “You are to play Ophelia.” |
(注1:将来における約束を表現するために用いられた“will”は、“be going to”で置き換えることはできない。
例文: | “I will be there on time.” |
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これを“I am going to be there on time.”に置き換えると、話者が、話者の意思に基づいて約束しているとは伝わらない。単純に将来における予定を伝えるだけとなる)
(注2:会話時点での意思決定を伝えるために用いられた“will”は、“be going to”で置き換えることはできない)
例文: | “I will help you with your homework.” |
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これを“I am going to help you with your homework.”に置き換えると、話者が、宿題を助けてあげると意思決定した事実が伝わらない。単純に将来における予定を伝えるだけとなる)
- 口語で用いられる“have (has) got”は、現在完了形ですが、意味は現在時制です。
“I have got no time to do it today.” |
- 時や条件を表す副詞節では、イタリックで示したように、現在時制を使って未来を示します。
“We will stay home if it rains tomorrow.” |
“Let’s wait here till the next bus comes.” |
第8話 「割り込んだ小悪魔」
A) 基礎編
教科書の159ページを参照してください。[関係代名詞]を採り上げています。例文を転記します。
- 台詞例文
ライザ: | “I never expected that anyone who was so successful in that field would be, well, as young as you, Mr. Stephens.” |
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マービン: | “Two, we have a standing date every Saturday morning which she broke to go hopping with her mother which we both know she didn’t do any such thing.” |
マービン: | “I’m gonna teach him that when a man has a wonderful wife like Samantha he shouldn’t go after a girl like Liza who’s got a boyfriend like me!” |
B) 発展編
第6話の翌週。国技館の中。太郎とナンシーが桝席に座っている。ナンシーはネイビー・ブルーのドレス姿。胸に星条旗のピン・バッチ。金髪が肩から背中に流れる

Taro: | (眼を大きく開けて)“You dress very distinctively today.” |
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Nancy: | (力を込めて)“I represent Americans who support Ukraine.” |
Taro: | “You do look like the Ukrainian flag, blue and yellow.”(土俵入りが始まる) |
Taro: | (若隆景を指差して)“He is the wrestler whom I spoke of last week. He won the championship in March this year.” |
Nancy: | “He looks sharp.” |
Taro: | (逸ノ城を指差して)“He is the heaviest wrestler that came from Mongolia.” |
Nancy: | “He is huge. How heavy is he?” |
Taro: | “He weighs 212 kilograms. That is 468 pounds.” |
Nancy: | “Wow!” |
Taro: | (御嶽海を指差して)“He is the champion whose mother is a Pilipino.” |
Nancy: | “He will soon be a grand champion.” (隣の席から牛タンのスモーキーな香りが流れて来る) |
Taro: | “Have you had lunch?” |
Nancy: | “Yes, I have. I am not hungry. Are you hungry?” |
Taro: | “Do you mind if I have a beef tongue lunch box?” |
Nancy: | “Not at all.” |
Taro: | (立ち上がりながら)“Do you want anything from the shop?” |
Nancy: | “Yes. I want a drink which is caffeine-free. ” |
Taro: | “Okay.” |
C) 自己練習編
- 英語は修飾方法に富む言語です。数ある方法の中で、関係代名詞は最も調法なものです。それは、先行詞と呼ばれる修飾の対象となる名詞または名詞相当語に続けて、口に出せるからです。先行詞が、①人であるか、②動物・物であるかに分けて例を挙げます。どの例でも、先行詞と関係代名詞はイタリックとしました。
- 先行詞が人である場合
- 初めに、第4話で学習した第3文型(主語+動詞+目的語)を使って、文を作ります。目的語が先行詞となります。人にしてください。
例文) | “I have a friend.” |
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a) 主格(主語) | |
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“a friend”が主語になる修飾語句を考えます。友人が京都に住んでいたとします。 | |
例1) | “I have a friend who lives in Kyoto.” |
b) 所有格(所有属性) | |
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“a friend”の所有に関係する修飾語句を考えます。友人の父親が大工さんだったとします。 | |
例2) | “I have a friend whose father is a carpenter.” |
c) 目的格(目的語) | |
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“a friend”が目的語になる修飾語句を考えます。以前、友人に英語を教えたことがあるとします。 | |
例3) | “I have a friend whom I have taught English before.” |
例1)~例3)を繋げて一文にすると、どんな友人か見えてきます。 | |
“I have a friend who lives in Kyoto whose father is a carpenter whom I have taught English before.” |
- 先行詞が動物・物である場合
- 同じく、第3文型を使って、文を作ります。目的語を動物または物としてください。ここでは動物とします。
例文) | “I like a dog.” |
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a) 主格(主語) | |
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“a dog”が主語になる修飾語句を考えます。 | |
例1) | “I like a dog which understands to heel.” |
(注:“heel”は、「自分に続いて歩きなさい」という命令語。アメリカでは、訓練された犬は赤信号で飼い主から“sit”と言われると地面に座り、“stay”と言われると座り続け、信号が青に変わり“heel”と命令されると、立ち上がって飼い主に続いて歩く。ここでは、この命令を理解する犬が好きだという意味)
b) 所有格(所有属性) | |
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“a dog”の所有に関係する修飾語句を考えます。白い毛で被われていたとします。 | |
例2) | “I like a dog whose skin is covered with white hair.” |
c) 目的格(目的語) | |
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“a dog”が目的語になる修飾語句を考えます。両腕で抱けるくらいの大きさがよいとします。 | |
例3) | “I like a dog which I can hug in my arms.” |
例1)~例3)を繋げて一文にすると、どんな犬が好きか見えてきます。 | |
“I like a dog which understands to heel whose skin is covered with white hair which I can hug in my arms.” |
自己練習は、他の文型でも可能です。ただし、補語が必要な文型で補語を先行詞とする場合には、名詞または名詞相当語を補語にしなければなりません。日常生活においてできる練習は、「どんな男性(女性)が好きですか」という問いかけに対する回答です。浮かんできたイメージを、関係代名詞を使って表現します。例えば、“a man”を先行詞にすると、つぎのような例が考えられます。 |
“I like a man who is kind whose job is secure whom I can trust.” |
これを参考に、「どんなペットが好きですか」や「どんな食べ物が好きですか」などと自分に問い掛け、浮かんできたペットや食べ物を先行詞として、関係代名詞を使って、回答を口に出してみましょう。 |
補足説明
- “that”は、人・動物・物を先行詞として、主格と目的格の両方に用いられます。相互代替的ではあるのですが、つぎのような場合には、“who”、“whom”、“which”よりも好んで用いられます。
a) | 先行詞が最上級の形容詞で修飾されている場合 |
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“He is the greatest scientist that has ever lived.” | |
b) | 先行詞が、“same”、“only”、“any”、“no”などで修飾されている場合 |
“Man is the only animal that can speak.” | |
c) | 先行詞が人と物の両方である場合 |
“Look at the boy and the dog that are coming along.” |
- 関係代名詞の前にコンマを置く用法があります。非制限的用法と呼ばれます。文語に多いのですが、コンマのない制限的用法と対比させると理解が簡単です。
a) | 制限的用法 |
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例文: | “The travellers who knew about the floods took another road.” |
洪水があったと知っていた旅行者は別の道を通ったという意味です。つまり、洪水があったことを知らなかった旅行者もいて、その人たちは別の道を通らなかったことになります。旅行者を制限(区別)します。
b) | 非制限的用法 |
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例文: | “The travellers, who knew about the floods, took another road.” |
旅行者は洪水があったと知っていて、みんな別の道を通ったという意味です。つまり、洪水があったことを知らなかった旅行者はゼロです。旅行者を制限(区別)することはしていません。
- 口語では、通常、目的格の関係代名詞は省略されます。不自然に感じたら、補うようにしてください。
“Here is the foreigner (whom) we have invited.” |
“Show me the bag (which) you bought yesterday.” |
“Everybody (that) I know is good at baseball.” |
- 先行詞に掛かる前置詞の目的語として関係代名詞が使われることがあります。この場合、つぎの三通りの表記方法があるのですが、関係代名詞を省略し、前置詞をうしろに持って来るc)の形がもっとも口語的です。
a) | “This is the photo of which I spoke yesterday.” |
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b) | “This is the photo which I spoke of yesterday.” |
c) | “This is the photo I spoke of yesterday.” |
- 動物・物を先行詞とする所有格の関係代名詞には、“whose”と“of which”の2つがあります。前者は人と共通です。
“We see high mountains whose tops are covered with snow.” |
“What is that building the top floor of which raises a tricolor flag?” |
- “what”は関係代名詞としても用いられます。その場合、先行詞は“what”に含まれます。それによって名詞節が導かれ、主語または目的語として利用できます。頭に浮かんだアイデアを、先行詞なしで表現できるのでとても便利です。例文はつぎのとおりです。
a) | 主語 |
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“What struck me most was her funny accent.” (注:(主語+be動詞+補語)の第2文型で、先行詞はない。“what”によって導かれた名詞節が主語) |
b) | 目的語 |
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“I will do what I can for you.” (注:(主語+動詞+目的語)の第3文型で、先行詞はない。“what”によって、“do”の目的語となる名詞節が導かれている) |
- “as”と“but”も関係代名詞としての用法があります。“as”は、“such”, “same”, “as”などといっしょになって相関的に使われます。“but”は否定の意味の先行詞に続きます。下の例文では関係する語句をイタリックとしました。
a) | “as” |
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“We want such persons as will help us.” | |
“This is the same watch as I lost the other day.” | |
“He gave me as much money as he had.” |
b) | “but” |
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“There is no man but loves his own country. (書き換え:“There is no man that does not love his own county.”) |
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“There is no one but knows it.” (書き換え:“There is no one that does not know it.”) |
- “-ever”を含む関係代名詞は、つぎの2点に留意が必要です。
a) | 先行詞がありません。補うとすると、つぎのようになります。 |
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“whoever”=“anyone who” | |
“whomever”=“any one whom” | |
“whatever”=“anything that” | |
“whichever”=“any that, either which” |
b) | 譲歩を表わす副詞節を導くことがあります。 |
---|---|
“Whoever may say so, it is not true.” | |
“Whatever you may say, you will never persuade him.” |