本研究会は、呼吸用保護具の適切な利用にあたっての「フィットテスト」に焦点をあて、フィットテストの実施と指導を現場で行うフィットテストインストラクターの養成とともに、フィットテストに関する学術的研究と普及について、研究者、労働衛生専門家、実務者等の交流を行っています。
イベント&学会・セミナーの報告
第2回 感染&産業部会合同企画WEBセミナー
新型コロナウイルス対策 ~ウィズコロナ(共存)の時代に~ 終了しました
【日時】2020年10月31日(土)
第一部:14:00~15:10
第二部:15:20~16:30
COVID-19の感染拡大から、ウィズコロナ(共存)の時代に・・・。
感染部会と産業部会の第2弾コラボWEBセミナー、皆さまのご支援、ご協力を賜り、 無事に終えることができました。ご参加く頂いた皆さま、ありがとうございました。
今回、事務局のオンラインの招待メールの設定ミスでご参加できなかった方々がいらっしゃいました。この場をお借りして、お詫び申し上げます。前回、同様、セミナーの概要をHPにて公開いたします。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
セミナーの概要 PDF
【第1部】トピック「ウィズコロナ(共存)の時代への一歩
座長:吉川徹(FT研究会産業部会代表)
- 特別講演:黒須 一見(国立感染症研究所)
COVID-19における呼吸器保護具の管理(保管、適正な着脱、使用に関する注意点、再使用) - 特別講演:草場 恒樹(株式会社モレーンコーポレーション)
バイオエアロゾル(ウイルスやを含む飛沫)の研究機器のご紹介
【第2部】事例紹介から学ぶ長引く可能性のあるCOVID-19への対策 Part2
座長:長瀬 仁(FT研究会感染部会事務局)
- 丸茂 陽子(防衛医科大学校病院 看護部)
今こそ 立ち向かえるチームになろう
〜自部署とCOVID-19対応病棟に勤務してみえてきた課題 あるべき姿とは〜 - 横井 博子(公益社団法人日本海員掖済会名古屋掖済会病院 感染対策室)
当院におけるCOVID-19疑い患者の救急搬送受け入れ状況と課題 - 木村 将和(中国電力株式会社中電病院 感染対策室)
民間病院におけるCOVID-19流行状況に応じた対応計画の立案,およびN95マスクを含むPPEの運用の難しさ
WEBセミナー(2020年8月1日開催)
新型コロナウイルス対策 ~これまでとこれから~ 終了しました
今回、初めての感染&産業合同企画WEBセミナーを開催しました。短い準備時間に関わらず、ご参加頂いた皆さまのに支えられ無事におえることができました。ありがとうございました。
改めて、座長、講演して頂いた先生方、本当にありがとうございました。
初めてのウェビナー、第1部、第2部ともに、チャットを活用しながら、質疑応答も活発になされ、有意義な時間を過ごすことができました。新しい生活のセミナーの方法として、呼吸保護に関する継続的にウェビナー開催を検討して参ります。
今回のセミナーの動画、講演資料をホームページにアップすることにいたしました。ぜひ、ご覧ください。
セミナーの概要 PDF
【第1部】「COVID-19の飛沫・エアロゾル感染とN95マスク関連情報」
座長 村田 克(早稲田大学)
- 新型コロナウイルス対策 現在の感染状況と今後の対応
和田耕治(感染部会代表、国際医療福祉大学) - バイオエアロゾル(ウイルスやを含む飛沫)の研究機器のご紹介
濱 尚矢 ((株)東京ダイレック) - N95マスクの不良品の⾒分け⽅ N95マスク除染と再利⽤
吉川 徹(産業部会代表、職業感染制御研究会)
【第2部】パネルディスカッション「事例紹介から学ぶ長引く可能性のあるCOVID-19への対策」
座長 川島 正敏(東海旅客鉄道株式会社 健康管理センター)
- COVID-19流⾏下における当院の呼吸⽤保護具の運⽤について
-マスクフィッティングテスターが与えた影響-
井口 光孝(名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部) - 当院におけるCOVID -19受け入れ体制の構築
ならびにN95マスクの供給状況と代替え製品の採用について
高谷美奈(特定医療法人渡辺医学会 桜橋渡辺病院) - COVID-19から見えた職員のN95マスクに対する認識と今後の課題
荒木 大輔(市立室蘭総合病院 感染防止対策室)
- 2019年8月8日 第2回産業用フィットテストインストラクターコース(早稲田大学)
「呼吸用保護具のフィット(密着性)の重要性を学ぶ」 -
2019年5月24日 第92回 日本産業衛生学会自由集会(名古屋国際会議場)
「産業保健スタッフが知るべき呼吸用保護具の最新情報」 -
2018年9月14日 第1回産業用フィットテストインストラクターコース(東京工科大学)
「呼吸用保護具のフィット(密着性)の重要性を学ぶ」 -
2018年5月18日 第91回日本産業衛生学会自由集会(熊本)
「呼吸用保護具の重要性 ~産業用フィットテストインストラクターコースの取り組み~」 -
2017年5月11日 第90回日本産業衛生学会自由集会
「産業現場における呼吸用保護具とフィットテストの重要性」 -
2013年9月26日 第17回産業衛生技術部会専門研修会(名古屋)
「産業現場での呼吸用保護具」
当部会について
代表挨拶

呼吸器を介して有害化学物質や感染病原体が体内に侵入して、様々な健康障害が起こることが知られています。鉱山や炭鉱で働く労働者のじん肺や肺がん、石綿関連産業に従事する労働者のじん肺や悪性胸膜中皮腫、鉛やクロム、インジウム等の重金属を取り扱う作業者の健康障害もよく知られています。また、病院等で空気感染する結核等に現在でも多くの医療従事者が職業感染しています。これらの吸入性有害化学物質・感染病原体から身を守るために、多様な種類や型の防じんマスク(呼吸用保護具)が開発され、利用されています。一方で、防じんマスクは一見単純にみえるため装着すると効果があるように思いがちですが、適切に着用できていないとその効果が十分発揮されないことも知られています。
フィットテスト研究会は、新型インフルエンザの大流行時(2009年)の反省から、多くの医療従事を呼吸器感染から守る必要性が指摘され、マスクの顔面への密着性を促進する技術や手法(フィットテスト)を研究しその普及を図る目的で、2010年に設立されました。これまで、医療関係従事者等に対しフィットテストインストラクター養成講座を開催し、2017年度までに28回を全国で開催しました。750名以上の熱心なインストラクターが誕生し、医療従事者を守るためのフィットテストの普及に全国で活躍しています。近年はインストラクターのネットワークが広がり、様々な教育や現場での職業感染管理などの改善活動が展開されるまで広がっており、これはまさに感染管理や産業保健に携わる方々の成果と嬉しく思っています。
一方、産業現場での呼吸器保護の取り組みは、防じんマスクの規格の制定や着用の義務化、各企業の取り組み、保護具メーカーによる支援などが進んできました。しかし、防じんマスクの顔面への密着性を促進する技術や手法(フィットテスト)に関しては、その普及や啓発が必要と感じています。特に、アスベストなど吸入性有害化学物質による健康障害は過去のものではなく、現在も解体作業などで多くの労働者が曝露し、新規有害化学物質への曝露防止としても、呼吸用保護具をまず先に「適切に」利用すべき機会が増えてきています。
2018年7月
フィットテスト研究会 産業部会
代表 吉川 徹
組織・事業内容
●産業部会役員
代表:吉川 徹 | (独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 過労死等調査研究センター センター長代理、医師、作業環境測定士、日本産業衛生学会指導医) |
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副代表:村田 克 | (早稲田大学理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科 准教授) |
副代表:川島 正敏 | (JR東海健康管理センター東京健康管理室 室長) |
●事業内容
産業衛生学会等でのフィットテストの普及、セミナー等
連絡先
事務局住所 | 神奈川県藤沢市善行坂1‐1‐22‐604 |
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電話・FAX | 046‐676‐6366 |
Eメール | eiei235235@gmail.com |
沿革
2010.6 |
フィットテスト研究会設立 研究会設立の目的
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2013.9.26 | 第17回産業衛生技術部会専門研修会(名古屋) 「産業現場での呼吸用保護具」 |
2017.5.11 | 第90回日本産業衛生学会自由集会(ビッグサイト) 「産業現場における呼吸保護の重要性」 |
2018.5.18 | 第91回日本産業衛生学会自由集会(熊本) 「呼吸用保護具の重要性 ~産業用フィットテストインストラクターコースの取り組み~」 |
2018.7.29 | フィットテスト研究会産業部会ホームページを開設 |
賛助企業
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興研株式会社 http://www.koken-ltd.co.jp/ |
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株式会社重松製作所 http://www.sts-japan.com/ |
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柴田科学株式会社 https://www.sibata.co.jp/ |
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スリーエム ジャパン株式会社 http://www.mmm.co.jp/corporate/group/japan.html |
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トランステック株式会社 http://www.transtech.co.jp/company/ |
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日本カノマックス株式会社 http://www.kanomax.co.jp/ |
フィットテストとは
呼吸用保護具の顔面への密着性に関する試験のことです。
着用者の顔面と防じんマスクの面体の密着が十分でなく漏れがあると有害物質の吸入を防ぐ効果が低下するため、防じんマスクの面体は、着用者の顔面に合った形状及び寸法の接岸部を有するものを選択する試験のことであり、JIS規格や米国労働安全衛生庁などでその手法が定められています。
フィットテストは「定性フィットテスト」と「定量フィットテスト」の2種類があります。
「定性フィットテスト」は、被験者がフードをかぶり、フードの中にサッカリンなどを噴霧して、呼吸用保護具と顔面との密着性の程度が確認できます。
「定量フィットテスト」は、専用の機器を用いて面体の中と外の粒子を計測し、呼吸用保護具と顔面との密着性の程度が確認できます。
フィットテストインストラクターとは
フィットテストインストラクターは、呼吸用保護具の正しい使用法を普及することで・・・
- 自分自身の健康を守ることの大切さを伝える
- マスクを使用する人々の健康を組織的に守るための仕組み作りを推進する
以上のことができるように、継続した努力をする者です。 フィットテストインストラクターは、フィットテスト研究会産業部会が実施する教育プログラムを受講し、試験を合格した者に与える称号(名称)です。
専門性と技術では、フィットテストインストラクター(FTI)は、所属する事業所等において、他の職員をトレーニングするだけの十分な知識と経験を有します。
※ フィットテストインストラクターの称号を提供するような教育を行う場合は、研究会による実施が必要となります。
呼吸用保護具
呼吸用保護具(Respiratory Protective Equipment: RPE)とは、人体への影響がある粉じんや有毒ガス等の有害化学物質等の吸入によるばく露を低減することを目的に装着する個人用保護具(Personnel Protective Equipment: PPE)です。
呼吸用保護具には、防じんマスク、防毒マスク、電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク・自給式呼吸器があります。
吸入によって健康障害を生じる粉じん・ヒューム・ミスト・有毒ガスなど有害化学物質は、様々な作業や職場で発生します。
酸素欠乏(酸素濃度が18%未満となる状態) によっても重篤な健康障害を生じます。作業に関連した健康障害を防止するために、有害な業務におけるその危害要因に応じた適切な呼吸用保護具の選択と、適切な着用が必要です。
関係法令
(1) 労働安全衛生法に基づく政令、省令、告示
- 労働安全衛生施行令
- 労働安全衛生規則
- 有機溶剤中毒予防規則
- 鉛中毒予防規則
- 四アルキル鉛中毒予防規則
- 特定化学物質障害予防規則
- 電離放射線障害予防規則
- 酸素欠乏症等防止規則
- 粉じん障害防止規則
- 石綿障害予防規則
- 機械等検定規則
- 防じんマスクの規格(告示)
- 防毒マスクの規格(告示)
- 電動ファン付き呼吸用保護具の規格
(2) その他
- 付録1「事業者が労働者に使用させるべき保護具」
- 付録2「防じんマスク国家検定規格」
- 付録3「防毒マスク国家検定規格」
- 付録4「基発第0207006号 防じんマスクの選択、使用等について」
- 付録5「基発第0207007号 防毒マスクの選択、使用等について」
- 付録6「電動ファン付き呼吸用保護具の規格の適用等について」
呼吸法保護具等に関する最新情報
2020/08/12
「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に係る溶接ヒュームの濃度の測定の方法等」が告示されました。
「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に係る溶接ヒュームの濃度の測定の方法等」(令和2年厚生労働省告示第286号)の施行について(基発0731第1号令和2年7月31日)(PDFファイル)
今回の告示では、呼吸用保護具の装着の確認関係」において、屋内において金属アーク溶接等の作業を行う労働者に、フィットテストの実施が義務づけられました。以下は、告示の抜粋です。
「事業者は、選定された呼吸用保護具を労働者が適切に使用できるよう、当該労働者に初めて呼吸用保護具を使用させるとき、及びその後1年以内ごとに1回、定期的に、当該労働者に当該呼吸用保護具の防護係数等を適切な方法(定量的フィットテスト)により確認し、その結果が防護係数(フィットファクター)の基準値を下回らないようにする。また、その結果を記録し、これを3年間保存する。」
2020/06/12
一般社団法人 職業感染制御研究会、一般社団法人 日本環境感染学会、フィットテスト研究会感染部会・産業部会は、新型コロナウイルス感染症流行における呼吸用防護具製品の適正使用が十分でない諸情勢に鑑み,下記PDFにあるように注意喚起を出しました。
2018/10/03
高純度結晶性シリカの取り扱い作業に伴う留意点について、関係各所に通知がありました。 結晶質シリカはじん肺則および粉じん則に定める「鉱物等」に該当することから、十分な粉じん曝露防止措置をすること、作業場所の湿潤化又は発散源の密閉化が十分でないときには十分な防護性能を有する呼吸用保護具を使用させることなどが通知されました。以下のリンク先の別添に、指定防護係数、マスクの種類等も記載されています。 リンク先(三重労働基準協会連合会)