ネットワークアディションズ株式会社

IEEE1588規格に係る時刻同期ソリューションのコンサルティング ネットワークアディションズ株式会社

ネットワークアディションズ社について

ネットワークアディションズ社は 時刻同期の国際標準規格IEEE1588(PTP:Precision Time Protocol)のスペシャリストです。

■放送分野向けに、放送局内の同期系統デジタル化等を見据えて、SMPTE2059,AES67対応のソリューションを用意しています。
■電力分野向けに、Power Profile IEC61850-9-3をサポートしたソリューションを用意しています。
■IoT分野向けに、センサネットワークなどで最適なソリューションを用意しています。大学との共同研究で、より洗練されたものを目指します。

時刻同期の国際標準規格IEEE1588(PTP:Precision Time Protocol)のスペシャリスト

2024年の同期問題

2020.01掲載

 2024年に、公衆回線網の主要な同期手段がなくなります。NTTは、2024年1月にISDNサービスの提供を終了するとしています。
 総務省の情報通信統計データベースによると、平成30年9月末時点のISDNサービスの契約数は、208万件です。一般ユーザに於いては、ADSLや光回線の利用が進んでいますが、業務利用に於いては、ISDNサービスへの依存度は低くないのが現状です。とりわけ、ラジオ放送では、今なおISDNサービスを使っているケースが多くあります。デジタル化が進んだ現在も、ISDNサービスに依存したままの状態です。これに危機感を持つ、株式会社エフエム東京と株式会社ニッポン放送は、「ラジオ放送における次サービスへの円滑な移行に向けて」と題したレポート( 総務省サイト内 電話網移行円滑化委員会 ヒアリング資料http://www.soumu.go.jp/main_content/000418409.pdf )を発行しています。ISDNサービスから光回線サービスに円滑に移行するために、現状分析を行い、何が必要かをまとめたものです。
 上述のレポートによると、“ISDNのサービスであるINSネット64がラジオ局にとって無くてはならない音声伝送回線”とあります。一般社団法人日本民間放送連盟に加盟している全ラジオ社(合計101局:AM47局、FM53局、短波1局)へINSネット利用状況に関するアンケートを実施した結果が記載されています。なお、コミュニティ放送局(約300局)はアンケートの対象外としています。
そのアンケート結果から見えてきた、代替手段・装置への要求は下記の5つであるとしています。
 ① 伝送帯域保証(/伝送品質保証)と低遅延伝送
 ② 場所を選ばず伝送路を設置
 ③ 伝送路開通までが短期間
 ④ 接続の容易性確保
 ⑤ 低コストで提供
これらが、ラジオ放送事業者が、ISDNサービスから光回線サービス(IPパケット通信網)へ切り替えを実施するための課題です。
 しかし、課題はこれだけではありません。ISDNサービスの終了は、これらの要求(=課題)と同等以上に重要な技術的課題を含んでいます。それは、放送用音声伝送に必須である網同期(クロック)信号が無くなることです。音声データの送受信には、送信側と受信側が同期して(同一レートのクロックで)動作する必要があります。同期しない状態で送受信を継続すると、放送に於いてあってはならない、音声データの欠落等が発生します。ISDNサービスを使用している場合、網側からのクロック信号供給で、音声コーデックは、同期して動作することができます。また、光回線サービスを使用する場合に於いても、INS64回線網からクロック信号供給を受けることで、音声コーデックは、同期して動作することができます。ところが、ISDNサービスの終了で、その網同期(クロック)信号が得られなくなります。それは、網同期信号に替わるものを、新たに用意しなければならないことを意味します。GPSに同期して動作させたり、セシウムを用いた発振器のクロックを使用したりするなどの代替案が考えられますが、一様に高価です。そのため、前述の代替手段・装置への要求に、“同期伝送”を加える必要があります。
 私たちは、2024年1月に終了予定のISDNサービスを利用するラジオ放送事業者向けに、IPパケット通信網(光回線サービス)を利用可能なデジタル音声同期伝送装置を提供する準備を整えました。