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大賞 環境(エコ)部門 ia corporation 株式会社 優秀賞 環境(エコ)部門 株式会社オオハシ   奨励賞 オゾンセーブ株式会社   地域振興賞 株式会社大森商店 福祉支援賞 有限会社オフィス結アジア

審査委員長賞 フロンティア部門 株式会社キマタ

代表取締役: 木俣 芳武
所在地: 横浜市港北区新吉田町153-1
設立: 1978年12月 従業員: 8名
資本金: 1,000万円
TEL: 045-592-8038 / FAX: 045-592-8064
産業Naviページ: https://www.navida.ne.jp/snavi/5566_1.html
公式ページ: -

次世代金型

カセット式プレス金型。

製作費が半値以下(材料費及び加工費の削減で実現)。セット時間の大幅短縮(工具なしで金型をチェンジ)。保管スペースが従来の4分の1。

高齢者及び未経験者でも従事可能。環境面では資源の大幅削減、リサイクルも可能。
カセット式次世代金型
 

ドアの向こうに見えた未来

必要な人間になれ

木俣代表取締役
「“プレス金型は高い。半値でつくれないか?”というお得意先の言葉が、次世代金型に着手したきっかけです」
それは、プレス加工と金型の職人として50年以上モノづくりの世界で生きてきた木俣氏の、経験と技術と知恵を注ぎ込む挑戦でもあった。
株式会社キマタ代表取締役・木俣芳武氏が、戦争疎開先の千葉県九十九里浜から東京目黒区の町工場にプレス工員として就職したのは1960年、16歳の時だった。戦後直後生まれの木俣氏は、就職難の世代である。中卒・高卒の就職希望者が“金の卵”ともてはやされるのは、次の世代になってからだ。男ばかり5人兄弟の三男だった木俣氏の家は、父が早世し困窮していた。義務教育が終わったら、皆働きに出ることになっていた。
「周りから必要な人間になりなさい」というのが母の教えで、木俣氏もそうした気持ちで働けば、この先きっとよくなると信じていた。だから、朝早くから夜遅くまで懸命に仕事をしたし、余暇も自分なりに金型をつくってみたりと研究の時間に当てた。その努力から、木俣氏は21歳で工場長に任命された。逆さ字など精巧な彫りを行う彫刻師であった父のDNAを受け継いだ手先の器用さも手伝ってくれた。
26歳で共同経営の工場を設立。後、株式会社キマタを個人創業した木俣氏は、客先の要望に常に耳を傾け、持てる技術で対応してきた。しかし、今や技術ばかりでなく、海外との単価を争う消耗戦の時代である。そうなると中小企業はつらい。かつて工場街だった地も、現在は住宅に取り囲まれ、機械の稼働時間の制限から量産の限界もあった。それでも、いや、それゆえにこそ木俣氏は、あくまで“技術”を前面に押し出して勝負しようとした。
「プレス金型は高い。半値でつくれないか?そうなれば仕事はあるんだけど」そう得意先様の社長に言われたとき、木俣氏にはすぐに頭に浮かぶものがあった。自分も常々、「今の金型にはムダが多い」と考えていた。潜在的なイメージが、一瞬にして形になった気がした。「必要な人間になれ」という母の声が聞こえた。木俣氏はすぐさま、これまでにない金型の開発に着手する。
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プレス職人は指を潰して一人前

作業現場
木俣氏の半生は、プレス機械とプレス金型の進化の歩みと重なる。「プレス職人は、指を潰して一人前」そう言われた時代があった。実際、かつてのプレス加工の現場は、事故とケガが付き物だった。就職したばかりの木俣少年も、先輩工員が金型の間に手を入れ、ケガをするのを目の当たりにしている。工場長に伴われて病院に行った先輩が、指に包帯をして戻って来る。あの太った包帯の下で、指の先はなくなっているのだ、そう思うと寒気がした。
プレス機械には安全装置がある。安全装置を解除しないと、金型を動かすペダルが踏めなかったり、“手払い”という、ゴムのヘラが振り子のように動いて安全を確保する装置だ。しかし、安全装置を解除するひと手間は生産性を落とすし、目の前を動くヘラは煩わしい。「それでもって数ものを扱う工場では、“今日はこれだけつくれ”とあおられるわけです。だから、どうしても安全装置を外してしまうことになる」
入社して3ヵ月した頃だった。木俣少年は、ピンセットで金型の上の製品を取ろうとしていた。だが、うまくいかない。それで思わず右手を伸ばした。「あ、危ない!」自分でもそう気づいた。しかし、中指の先を金型の間で潰してしまった。ケガをして、その痛みによって、職人は機械に対して真剣に向き合うようになる。「プレス職人は、指を潰して一人前」とは、そこからきた言葉なのだろうが、「ケガのない仕事をするのが一番です」そう言う木俣氏の指先は、幸い切断することなくかつてのケガの跡を今はとどめてはいない。
かつて、21歳で工場長になった折に、午前10時の休憩に入る前、昼休み前、午後1〜2時の食事後で睡魔が襲う頃、3時前、5時の終業時間前、かならず「気をつけなよ」のひと声を職場のみんなにかけるようにした。自身がケガをしたのもそうした、ふと気が緩む時間帯だったからだ。また木俣氏も、声をかけられ、「ありがとう」と思い起こすことが何度かあった。安全に働けることは、プレス職人である木俣氏の願いであった。
今やプレス機械には、ベッド(金型を設置している場所)に手を入れると、光センサーで止まる安全装置が付いていて安全になった。だが光センサーを設置できるのは大きなプレス機に限られる。機械が大きくなれば金型も大きくなる。「大きい機械でやる分には、安全なんですよ。だけど、それだと、金型にムダな部分が多くなる」
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多品種少量生産向け金型

次世代金型
次世代金型は、プレス機械の進歩から生まれた金型でもあった。この次世代金型は特許を取得し、全国紙にも紹介されて大手精密メーカーからすぐに注文があった。すると今度は、「確かにいい金型だが、交換が簡単にならないか」という取引先からの声があった。
一製品に対し一金型が必要だった従来品に対し、プレス機械に装着させる土台部分となる外枠(マスターダイセット)の金型上下にドアをつける。これにより、製品を製作する部分の中駒(フリーダイセット)金型上下を取り外しやすくした。金型業界でカセット式と言われる金型は同じように中駒部分を取り換えるものだが、次世代金型はプレス機械から金型(外枠)を外すことなく異なる製品の金型と交換ができるというものだ。だから取り付けに工具もいらないし、これまで40〜50分かかっていた交換時間も2〜3分以内で完了する。
もちろん従来品を簡素化したような劣るイメージを払拭するため、精度保持やメンテナンスもしやすいよう構造に配慮した。金型を設置するとき、外すとき、いかに安全で簡単に交換できるかをチェックしながら商品化を目指した。そして過去にカセット式金型を製作した人たち、使ったことがある人たちが一様に口にする「カセット式は精度がでないでしょ」という課題も、もちろんクリアさせた。完成精度を維持したまま交換を容易にさせたドア付きの金型。それだけでなく、1個の金型で何工程も入れる技術を集結させた。たとえばこれまで「抜き」「面打ち」「折り曲げ」「折り曲げ」「折り曲げ」と五つの金型が必要だったところを、一つの金型で行えるのである。「メーカーが4工程と言ってきたら、3工程に。3工程だったら2工程と、工程を少なく提案してきたのがウチの技術」と、常に得意先からの声に応えてきた。「大量生産の金型は、安い値段で受ける海外に敵わない。だから、多品種少量生産の金型で、技術力と知恵で勝負する」と木俣氏。
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