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優秀賞 フロンティア部門 株式会社リガルジョイント

代表取締役: 稲場 純
所在地: 相模原市南区大野台1-9-49
設立: 1974年7月 従業員: 60名
資本金: 5,760万円
TEL: 042-756-7567 / FAX: 042-752-2004
産業Naviページ: https://www.navida.ne.jp/snavi/5564_1.html
公式ページ: http://www.rgl.co.jp

家庭用燃料電池システム(エネファーム)用 高温ガス冷却器

開発した熱交換器は、従来から小型熱交換器として取り上げられている二重管熱交換器等と似て、実は大きく異なる多葉状フィンの二重管式です。

開発初期は、エコキュートのふろ追炊き熱交換器を応用しました。新開発の「シューティング・クローバ・フィン(SCF)式」は、一般の二重管熱交換器の容積及び製造コストを30%以上低減、小型化を達成し、2013年モデルの家庭用燃料電池システムに採用されました。
家庭用燃料電池システム(エネファーム)用 高温ガス冷却器
 

幸せのクローバーは六つの葉

風雪に耐え

稲場代表取締役(右)
あの建物はなんだろう? 森の向こうに塔のような屋根が見える。お寺だろうか?
そんなことを考えながら向かっているうちに、辿り着いたのが五重塔の前だった。そしてこの建物こそ、株式会社リガルジョイントの本社ビル、研究開発棟「リサーチ&ラボ」だったのである。
「京都の五重塔をモチーフにした建物です。五重塔は石台の上に建っているだけですが、どんな風雪にも耐え、倒れない。我が社もそうでありたいという先代の思いを具現化した社屋です」稲場純氏が父である久二男氏(現同社取締役会長)を継いで代表取締役に就任したのは1年前。家庭用燃料電池システム用の高温ガス冷却器の開発は、稲場氏にとってそれ以前、営業担当時代からの夢だった。
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熱交換器とはなにか?

熱交換器断面
家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)は、ガスから電気をつくりだす、まったく新しいエネルギーシステムだ。
都市ガス、LPガスなどから水素を取る。すると、水素と空気中の酸素が結合して電気が発生する。これを蓄電するわけである。エネルギーの素であるこの水素は、100〜300℃ある。しかし、このままの高温だと、水素は酸素と結合しない。いや、そもそもがこのままの温度では、電池そのものが壊れてしまう。水素が酸素と結合できる温度まで冷やしてやる必要があるのだ。
そこで必要なのが熱交換器である。
給湯器は、ガスを燃焼させ、器内にあるパイプを火で焙る。こうすることでパイプの中を流れる水をお湯にする。家庭用燃料電池ステムの場合、鋼管の中にさらに細い管を通し、その中に水素を流し込んで、周りから水によって冷却する方法をとる。ここに同社の新技術が活きているわけだ。
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普及のカギはコストダウン

熱交換器
エネファームは、発電時に発生した排熱を給湯に利用するため、発電時のエネルギー利用効率が高い。水素を冷却する水がお湯になるわけだ。家庭の総エネルギーの大半がお湯を沸かすことだといわれるが、タンク内に排熱で沸かしたお湯が溜めておける。また、家庭で発電するため、送電ロスがほぼないなど、環境面でのメリットが大きい。2005年、神奈川県が支援、さがみはら産業創造センター(SIC)が主催する「SIC燃料電池研究会」は、産学官によるエネファームの共同開発支援を推進していた。リガルジョイントもここに参画する。
エネファーム普及の最大のネックは、価格であった。1台1千万円以上するとあっては、一般家庭が導入するなど、夢のまた夢である。当時の最大目標は、耐久性の向上や低電力化はもちろん、1個1個の部品の見直しによるダウンサイズ化と低コスト化であった。1974年の設立以来、配管と配管をつなぐ継つぎて手の製造販売を行う同社は、エネファーム用熱交換器の継手の低コスト化を担当することになった。熱交換器そのものを設計するメーカーは、同社から継手を買っては、研究開発を行っていた。当時、営業担当だった稲場氏は、各メーカーに継手のプレゼンをする中でネットワークを構築、継手だけでなく、熱交換器そのものをつくりたいことを辛抱強く提案した。
稲場氏には一つの強い思いがあった。
同社の主力品目である配管や継手、その中を流れる水の安定度を計る流量計などの製品は、半導体の製造設置メーカーでの用途が多かった。作業工程で、半導体を冷却するのに水が用いられるためだ。ところが、“半導体は変動体”と揶揄されるくらい、この分野の浮き沈みは激しく、これに合わせて同社の受注も不安定だった。「こうした状態から脱却したい。そのためには、次代を担う自社製品をつくらなければ……」
熱交換器をつくりたいという稲場氏の提案は受け入れられ、さっそく同社に設計開発チームが設けられた。それまで機械部品が専門だった同社にとって、熱交換器はまったく新しい挑戦だった。アカデミックな部分も勉強していかなければならない。苦労は多いが、そこで得たものを蓄積していけば、間違いなく会社の財産になる。
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SCFチューブの誕生

社員
二重管の内部チューブを、断面が葉っぱの模様のような形(フィン)にする案があった。多葉状二重管熱交換器(SCチューブ)は、確かに平面よりも水との接触面が多く、電熱性能が高い。しかし、本体との接合加工が溶接である都合上、先端を円形に絞るようにしなければならず、生産コストがかさんでしまう。これでは、エネファーム普及の最大の目標である低コスト化と相反してしまう。
「なにかよいアイディアはないか?」
そこで新たに考案されたのが、フィン形のチューブそのものを管で囲い円筒状にすることだった。断面としては、○のなかに六つの葉の模様がある形になる。「シューティング・クローバ・フィン・チューブ式(SCFチューブ)」二重管熱交換器は、SCチューブの伝熱性能を維持したまま、コスト低減を達成したのだった。SCFチューブを採用したエネファーム2013年モデルは、従来の数10%を超えるコストの低減化が図れ、今年度2万台(熱交換器4万個)の普及が予測されている。因みに、経済産業省における2030年の目標累積台数は530万台となっている。この量産化に向けては協力工場もあった。リ(流体)ガ(ガス)ル(L=ライン)ばかりでなく、ネットワークをジョイントする意味も社名には込められていた。
さらに同社は、次世代燃料電池システムである固体酸化物型燃料電池(SOFC)に、今回開発した高温ガス冷却器用SCFチューブとともに排熱回収器についても、開発が進んでいる。これは先行していた他社のプレート式熱交換器がガス側圧力損失が過大であったためだ。この欠点を改善できるSCFチューブは高い評価を受けている。世界に先駆けて開発が進む日本のエネファームは、家庭が分散型発電所になるグリーンエネルギー革命の象徴である。このシステムの普及拡大は、原発依存からの脱却の一端を担うことにもなる。同社は、その技術を活かし、海外にない熱交換器という製品で、日本がリードする小型燃料電池システムの進展とともにグローバル展開も視野に入れている。
SCFチューブはリサイクル可能なステンレス製で構成された製品である。製造段階の接合は、特殊な金属や薬品を使用しない無酸素電気炉や水素雰囲気炉による接合法を採用し、生産工程における環境改善にも取り組んでいる。こうした徹底ぶりは、五重塔の本社ビル「リサーチ&ラボ」にも表れている。屋根にはソーラーパネルが設置され、地下200トンの貯水槽には雨水が溜められている。これを同社が開発したオゾン殺菌システムで処理後にトイレ排水や冷温水に使用。五重塔のひさしも、直射日光を避ける役割を担っているのだ。360度を展望する本社の会議室で、しかし、稲場氏は、「開発に終わりなし」と余念がなかった。
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