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大賞 フロンティア部門 マイクロモジュールテクノロジー株式会社

代表取締役: 原園 文一
所在地: 横浜市鶴見区小野町75番地1 リーディングベンチャープラザ1号館
設立: 2008年5月 従業員: 15名
資本金: 1,200万円
TEL: 045-510-3080 / FAX: 045-510-3081
産業Naviページ: https://www.navida.ne.jp/snavi/5562_1.html
公式ページ: http://www.micro-module.co.jp

グリーン社会を実現する超小型次世代SiCパワーモジュールの開発と製品化

電気自動車・ハイブリッド自動車のモーターを駆動制御するインバータや、ソーラー発電・非常用蓄電装置の電力変換装置に搭載可能な次世代超小型SiC半導体パワーモジュールを実現しました。

本製品は、(1)業界最小サイズ(従来の1/10)、(2)電力変換効率を30%向上、(3)高温動作300℃が可能で、東日本大震災以降、急務となっている電力エネルギー問題の解決や省エネ・環境対策を目指したグリーン社会の実現に大きく貢献するものです。
超小型次世代SiCパワーモジュール
 

小さくするとイイことがある

逃げてゆく電気

原園代表取締役(左)
「小っちゃくするのが好きなんですよ」マイクロモジュールテクノロジー株式会社代表取締役・原園文一氏がいい笑顔を見せた。同社は、半導体実装モジュールや半導体実装技術などの受託開発、試作を行っている。今回、原園氏が「小っちゃくした」のはパワーモジュールである。出来上がったモジュールはメーカーに提供(販売)する。中小企業が開発技術力で勝負しているところが頼もしいではないか。
さて、そのパワーモジュールとは、電気エネルギーを変換する装置に搭載される部品だ。たとえば電動自動車であれば、バッテリー(蓄電池)内の直流電流を、モーターを動かすためには交流電流に変換しなければならない。これを行うのが電力変換装置である。パワーモジュールを小さくすれば、電力変換装置も小型化される。では、そこにあるメリットはなにか?
まずは、エネルギー変換効率が大幅に向上する。こう考えていただきたい。発電所から電線を伝わって長い距離を経て家庭に届くまでに、電気は熱に変わって多くが失われる。ノートパソコンにつながっているアダプターを例にとればよく分かる。交流電流からパソコンを作動させるための直流電流への変換を行っているアダプターは、熱を発している。あれこそがロスしている電気なのだ。再び電線に話しを戻す。発電所からの長い電線の距離を短くできたらどうか? しかも、銅線よりももっとロスしない素材を用いられたら、電気はもっと効率的に届くはずである。
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小さなモジュールの大きな力

SiCパワーモジュール
マイクロモジュールテクノロジーの超小型SiCパワーモジュールは、電力変換装置の電気ロスを著しく軽減させることに成功した。これまで、エネルギー変換に用いられるパワー半導体はシリコン(Si)で作られていた。このたび同社が開発した技術には、シリコンカーバイト(SiC)が採用されている。SiCとは、大電流を流せる次世代パワー半導体だ。
従来技術では、Siパワー半導体を基板の上に平面配置してアルミワイヤでボンディング(接合)する方法が主流であった。これだと、パワーモジュールのサイズが大きくなってしまう。また、アルミワイヤが細いため大電流を流すことができなかった。対して、同社はSiCパワー半導体を縦に積み上げ、さらに部品を構成する材料同士をつなぐワイヤをなくした。この独自技術によってパワーモジュールを10分の1以下のサイズにしたのだった。これにより、電力変換装置を通る電気は大容量となり、しかも素早く駆け抜けるため、従来のSiパワーモジュールと比べ、エネルギー損失を30%以上削減することができるのだ。
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原園少年が見た夢

中学時代、妹の故障したエレクトーンを、家に派遣されてきた作業員がたちどころに直してしまう様子を見て、原園少年は電子技術者の道を志す。大手メーカーを経て、2008年に一人で設立した同社で、電子機器部品の小型化、薄型化という顧客からのニーズに応えてきた。「小さく、薄くすることで、いろんなメリットがあるんですよ。個々の部品を小さくすれば、当然コストも下がります。また、部品が小さくなれば、空いたスペースに多くの部品を盛り込めるので、機能を増やすことができ性能も高くなるわけです」
実績を重ねながら、人とインフラを整えてきた原園氏が挑んだのが、パワーモジュールの小型化である。横浜国立大学、神奈川科学技術アカデミーと共同で実施した基礎開発に始まり、実装に入る。それまで扱ってきたのが小型の電子機器だったため、扱う電気量は数十ミリアンペアというのがせいぜいだった。ところが、このプロジェクトでは500アンペアという桁違いの電気量を相手にしなければならない。もしものことがあれば感電死という危険性も頭の隅をよぎる。原園氏にもスタッフの間にも常に張りつめたような緊張があった。
構成材料のハンダ付けの際には、合金の中にどうしてもボイド(気泡)ができる。だが、このボイドは、発熱により、製品にクラック(ひび割れ)を起こし、壊してしまう危険性を孕む。同社は、ボイドを限りなくゼロにするハンダの技術を確立。これは、このたびの研究開発の中で得た、貴重な財産でもあった。
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熱にも強いSiC

SiC半導体は熱に強い。
Si製の半導体を用いていたパワーモジュールは150℃を超えると誤作動を起こしてしまう危険性がある。そのため水で冷やさなければならなかった。電動自動車のパワーモジュールの耐熱基準が150℃に設定されている理由はそこにある。しかし、SiCで作られたパワー半導体は、理論上では400℃でも正常な動作が可能なのだ。SiCパワーモジュールを搭載することで、電気自動車のフードにある重い冷却システムが軽くなる日も近い。
現在、同社では250℃の耐熱基準に向けて研究中である。スタート時は電動バイク向けに導入予定だが、小型電動モビリティ(一人〜二人乗り用電気自動車)を開発販売する企業と連携し、SiCパワーモジュールの商品化にも着手している。小型電動モビリティの市場は、現段階では大きいとは言えないが、電動化による地球温暖化抑制効果が期待されるばかりでなく、自動車に過度に依存しない地域交通の新たな担い手としての可能性がある。
また、非常時のバックアップ用蓄電装置向けにも商品化して、導入展開を図る。蓄電装置は東日本大震災以降、注目を集めるアイテムである。また、直流電流を交流電流に変換して蓄電し、再び直流電流に変換する蓄電池は、その用途上、SiCモジュールの能力が遺憾なく発揮されることだろう。
小型電動モビリティと蓄電装置用SiCパワーモジュールは、ユーザー側製品のリリース計画から2014年10月頃に量産開始となり市場に登場する予定だ。当面のターゲットとなる電動バイクについては、国内市場では09年で4千台規模、10年で9千台規模、13年が4万5千台、20年には19万台となる予測がある。中国、アジアを中心に大きな需要も期待され、グローバル市場では18年までに年間6千550万台に達するとの見込みもある。SiCパワーモジュールは、省エネやグリーン社会の実現に向け、直接的な効果が期待できる技術である。この製品の導入が進むことで、CO2排出ガス削減などの環境対策に大きく貢献することだろう。
また同社は、社内生産を行っていることから、生産規模の拡大に合わせ、地域の雇用創出にも期待が持たれる。
今回の受賞について、原園氏に感想を訊くと、「非常にビックリした」との応えが返ってきた。だが、その後で、「小さくする技術による社会的な取り組みが、環境エネルギーに適応すると評価していただけたのでは、と勝手に解釈しています。モノづくりは日本の強みであり、その技術をつくっているのが我々。モノづくりの現場をしっかり残したい」と力強く語った。
「これからも、あらゆる電子部品を小さくしていきたい」と言う原園氏に、小さくする技術で、会社は大きくですね、と水を向けたら、あのいい笑顔になった。
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