大賞 フロンティア部門 ジャパンプローブ株式会社

大賞 フロンティア部門 ジャパンプローブ株式会社

優秀賞 フロンティア部門 リ・バース株式会社

奨励賞 チーム等々力

奨励賞 株式会社ヤマヨ

特別賞 湯河原担々やきそば会

大賞 エコ部門 株式会社ビッキマン

優秀賞 エコ部門 株式会社横須賀軽金

奨励賞 優成サービス株式会社

 

特別賞 お菓子工房サラ


空気中で計測可能な非接触超音波検査システム(NAUT21)

  • 代表取締役: 小倉 幸夫
  • 所在地: 〒232-0033  神奈川県横浜市南区中村町1-1-14
  • 設立:1979年8月 従業員数:34人 
  • 資本金:4,000万円
  • TEL: 045-242-0531 / FAX: 045-242-0541
  • 産業Navi個店ページ:https://www.navida.ne.jp/snavi/5270_1.html
  • 公式ページ:http://www.jp-probe.com

-技術者が追い求めた夢-

国産超音波検査用システムの先駆け

ジャパンプローブ株式会社 小倉代表

 暗室で身を横たえると、お腹に冷たいゼリーが塗りたくられる。ただでさえ、気の滅入る検査に、さらに不安感が追い討ちをかける。そのゼリーの上をグリグリとプローブ(探触子)が押し付けられる。今日は、それを操る医師の手が、いつにも増して執拗であるような気がする。
「どこかに異常があったのでは…」検査を受けている側は、ますます心細くなってくる。
医師の手は、相変わらずお腹の上でプローブを回すように強く押し付け続けている。グリグリ、グリグリ…
病院での検査は誰でも嫌なもの。あのエコー検査が、お腹にゼリーを塗られることなく、受けられるようになったら。いや、それどころか、あのプローブが身体に直接当たる必要がなくなったとしたら、どうだろう?
話を一足飛びにするのはよそう。まずは1970年代、ジャパンプローブ株式会社創業当時のことから―

橋梁、船舶、化学プラントなど、さまざまな構造物における非破壊検査は、・線検査によって行われるのが主流だった。ところが、原子力発電設備のメンテナンスでは、ぶ厚い鋼に・線を投射するのに時間がかかる。現場で・線装置を設置するのにも時間を要した。検査時間に限度のある原子力設備に、・線は不向きだったのである。
そこで必要不可欠のツールとなったのが、超音波検査である。ところが、その検査装置は外国製のものしかなかった。
「国内でそれをつくろう」と創業したのがジャパンプローブだった。


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技術者の夢

非接触超音波検査システム(NAUT21)

 パルサがプローブに働きかけ、人の耳には聞き取ることのできない超音波を発信する。超音波は、被検査物に破損箇所がなければ、そのまま通り抜ける。ところが、なんらかの異常があった場合、跳ね返ってくる。それをふたたびプローブが感知し、レシーバーが返ってきた超音波を受け取る。そして、跳ね返ってきた超音波をコンピュータで画像化するのが、超音波検査システムである。
ジャパンプローブは、各種超音波プローブ、超音波センサ、超音波パルサ・レシーバなど超音波検査システムの専門メーカーとして30年以上技術の向上に邁進してきた。
そうしたなか、同社には、どうしても成し遂げたい夢があった。
それは、大手メーカーで40年以上超音波検査装置の研究開発にかかわってきた小倉幸夫氏の夢でもあった。小倉氏が、5年前にジャパンプローブの代表取締役社長に就任したのは、その夢の達成のためだといってもいい。

プローブを被検査物に接触させる際、ゼリー、潤滑油、水などを被検査物に塗る必要がある。これは、プローブを被検査物に直接当てた場合、そこに隙間ができてしまい、プローブから発信した超音波が通り抜けないからだ。超音波は、何を通り抜けないのか? 空気である。そう、超音波は、空気を通過しないのだ。
超音波はゼリーなどの接触媒質を通ることでこそ、被検査物に届いていたのだった。
しかし、ゼリーや水などを塗ることができない被検査物もある。自動車のブレーキがそうだ。それなら、・線検査を行えばいいではないか。しかし、それができないのである。・線検査の場合、被検査物にある程度の厚味が必要だ。厚味がないと、・線が透過しすぎてしまい、画像を結ばないのである。
では、これまで自動車のブレーキ検査はどのように行われてきたのか? 打音検査だ。現在、国内では年間にして1億2000万個余りのブレーキが製造されているが、職人がそれを1個1個金づちで叩き、音を聞いて検査している。自動車製造の歴史の中で、半世紀それは行われてきたのである。現実的に、それしか方法がなかったのだ。
ほかにも多くの精密部品がある。電気自動車が搭載するリチウムイオン乾電池には、水は禁物だ。接触媒質のいらないプローブ―それは技術者の夢である。

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プロジェクトチーム

ジャパンプローブ社員

 接触型プローブの感度は90デシベルである。音の強さの単位であるデシベルは、非常に大きな幅を持っており、騒音で言えば、6デシベル上がるごとに2倍に感じられるとのことだ。
プローブから発信した超音波は、被検査物に当たる際に45デシベルが失われ、被検査物にある異常個所があり戻ってくる際、さらに45デシベルを失う。つまり、感度である90デシベルのすべてを失ってしまうわけだ。
「それなら、もっと大きなエネルギーを与えればいい。もっと感度のいい装置を作ればいいではないか」小倉氏は満を持してプロジェクトチームを結成した。大きな会社ではないが、電気技術、機械技術、ソフトウエアなど、各分野のエキスパートが揃っていた。
そうして、プロジェクトチームの3つの開発が、非接触型検査を可能にした。
(1)プローブ
これまでのプローブは、いわばゼリーに馴染むように作られていた。今度は空気に超音波の振動をよく伝える、空気に馴染むプローブを作る。
(2)パルサー・レシーバー
単独だった音の波(パルス)を、バースト波(連続波)にする。
(3)アンプ
返ってきた超音波を、最高60デシベルに増幅して聞こえるようにした。
(1)と(2)により、80デシベルと感度を増加。さらに・を加えることで、140デシベルを感知できるようになった。そこから、空気と接触することで失われる90デシベルを引いても、50デシベルで感知することができる、非接触型検査の誕生である。

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資金より人

 超音波スキャナー『NAUT21』に要した開発期間は1年半ほど。NAUTはNon-contact Air coupled Ultrasonic Testingの略である。「開発期間が比較的短かったので、資金の融資を求める必要がありませんでした。それもこれも、優秀なスタッフがそろっていたおかげです。それに、なにより当社には、30年以上積み重ねてきたプローブ専門メーカーとしてのノウハウがあった」
プロジェクトメンバーの多くは60歳近い社員である。いずれも他企業でキャリアを積み、ジャパンプローブでなら面白い仕事ができるのではないか、自分の技術が活かせ、夢が結実できるのではないかと集った人たちだった。ヘッドハンティングされてきたのではない。みな、同社の評判や事業展開を知って、自らやってきたのだ。
「うちには定年制はありません。あるのは力士と同じく、引退だけです。魁皇関のように、自らの花道を決めるのは自分です」
小倉氏は、中小企業の強みは、小回りの良さだと言う。
「小さい企業ですから、総がかりでモノづくりができる。大きな企業にいると、何をするにも上からのハンコが必要になりますし、口出しも入る」
これまで“陸”を中心に超音波検査システムを展開してきた同社。
「今後は、“海”に“空”にと発展していきたいですね。海底を超音波検査してレアメタルの分布や厚味を調べたり、ロケットや飛行機にだって、まだまだ技術は活かせます」
そしていつか、健診のエコー検査でも、あの冷たいゼリーを塗られることも、プローブをグリグリされることもなくなる日がやってくるかもしれない。

お問い合わせ 電話:045-671-7125 FAX:045-664-7598
一般財団法人神奈川県経営者福祉振興財団 企画事業部

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