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自分の足で地を踏み、企業の海外進出を考えたい。
「つくる中国・売る中国」の一風景を切り取ってみる。〜中国大連開発区〜

「つくる中国・売る中国」の一風景を切り取ってみる。〜中国大連開発区〜

産業Naviに足りないもの・・「海外」を考える中小企業にとって。


 

  • 自分の足で地を歩き、自分の目で見て、単に1コマに過ぎない風景でも、つたえてみたくなった。 大連開発区成形工場:金属加工部品

    急速に「世界の工場」となり日本の中小町工場の脅威であること、今は人件費の高騰からその役割をタイ・ベトナムなどに奪われつつあり技術流出だけが取りざたされがちな中国。
    ・・・そんなイメージだけで、
    「中国にはこんな精巧な製品はつくれないだろう」
    「人件費が安い だけの『世界の工場』が人件費高騰によりその機能も終わるのだろう」
    と、すぐ日本ではネガティブなイメージで語られることが多い。


    そうだろうか、そうなんだろうか。

    かたや、宇宙技術も実は発展していて、初の有人ドッキングとなる宇宙船「神舟9号」打ち上げも報じられた。しかも、中国初の女性宇宙飛行士も搭乗するという。
    言われるがままに下請け部品を何も考えず大量に生産する工場・・・・ だけの存在であるはずがない。

    ネットや本の活字の知識だけでなく、空気を感じてみたい。

    一体何が見え、何を考えていかねばならないと思うようになるのか、それとも、思わないのか。


    産業Naviの記事やコンテンツでサポートできていなかったもの、
    「海外」。
    セミナーもコンサルティングも外国語ページのサポートもできていない。
    まずできるとすれば、「つくる」場として、「売る」場としての海外の現実をつたえることだと思った。



    中国語も一切話せない状態でも、とびこんでみた中国大連開発区(1984年に設置された中国の最初の経済技術開発区、石油化学/設備製造/電子情報・ソフトウェア/造船の4つの基地を目指す政府の経済方針により外資企業にさまざまな恩恵優遇政策がとられている地域)の、2つの小さな製造町工場。

    群馬県に本社所在ながら、東京・神奈川の企業とも親交が深い産業Navi会員、中国歴17年の実績でご活躍の株式会社idea松村社長の全面サポートにより、
    確かに感じた、広大な中国のたった真実の一風景とは・・・



  •  大連開発区公式サイト (英語・中国語) 
     株式会社idea 公式サイト
     株式会社idea 産業Navi会員ページ

つくる場所、中国。

(1)金型・成形工場

日本、というか神奈川県で何度も見学したことのあるような、金型設計とプラスチック成型の両方をこなすとある工場へ。

従業員数は20名ほどだろうか、
日本の町工場に非常に近いイメージだ。
PCで金型設計するエンジニア、実際に金型をつくりあげる機械のそばでチェックする人、成形された部品をチェック しバリ取りをする女性社員。
たまたまその日出来上がっていたのが、携帯電話関係のプラスチック部品のようだ。
みな黙々と手際よく作業する。 そこも、日本の町工場の風景となんら変わらない。

役員にあたる王さんが、甘めのあったかいコーヒーをいれてくださった。
が、タバコの煙をくゆらせながら松村社長の7年来のビジネスパートナーである李さんと2人で話してる時は、香港映画の取引現場のようで、これが夢か現実か一瞬わからなくなるほど・・・(笑)。

「取材、写真、どうぞ自由に撮ってください」
もちろん全社がそうというわけではないだろうが、撮影禁止箇所の多い日本の町工場と、まずここが違った。

わたしたちとの談笑中にも、若い女性社員がどんどん王さんに質問しにやってくる。

このごくごく普通の町工場で、中国の製造業に従事する社員は、単調な流れ作業に没することなく、
「考えて、動いて、提案して、作業する」
のだ。
女性も決して、飾りなんかじゃ、ない。

大連開発区金型・成形工場 王さん
金型・成形工場の王さん、やさしい笑顔、そして、おしゃれなシャツ。


大連開発区金型・成形工場 打合せ
この写真だけ見ると、香港映画の怖い取引現場のよう・・(笑)、全く違います!!王さん(左)と李さん(右)、真剣に商談中。

大連開発区 金型・成形工場 設計部門
設計室は何室かありました。まさに設計中のみなさん。

大連開発区金型・成形工場 金型製作  大連開発区金型・成形工場 金型製作
お2人とも、真剣に機械をウォッチ中。

大連開発区金型・成形工場 プラスチック部品成型  大連開発区金型・成形工場 プラスチック部品成型
成形されたプラスチック製品。女性社員のアームカバーには、よくみるとキティちゃんが!!若く髪をカラーリングした女性が多い。
(実は、大連の街中ではカラーリングした女性をほとんど見かけなかった・・)

大連開発区金型・成形工場 金型製作最終工程
金型の最終チェック。「人」ありきの技術が必要なシーン。日本と同様だ。


(2)材木工場

金型工場からもう少し奥まで車を走らせ、広めの庭に材木を積んだトラックが止まっている工場に着いた。
材木工場。
日本の「フローリング」の床材は、ほとんどこうした中国の工場から輸入されている。檜、とかもだそうだ。
工場の中へ入ると、たくさんの犬が飼われていた。

製品自体が長い(材木を想像していただければ・・)ため、機械自体も長さが要る。
材料から裏にゴムを施すなど最後の仕上げまでこの工場で行われ、製品として輸出される。

大連開発区 材木工場 機械
大きな機械の必要な材木加工。人の後ろ姿入りなので、そのスケールがつたわるのでは。

大連開発区 材木工場 製品  大連開発区 材木工場 製品
製品群。日本で私たちが身近に目にする、いろいろな種類のフローリング材そのものだ。

大連開発区 材木工場 機械  大連開発区 材木工場 製品
仕上げ加工用の機械こそ、最長。裏にゴムを貼るなどの最終製品化の工程もここで一気に。

大連開発区 材木工場にて
左から、材木工場の工場長さん、李さん、松村社長、そして、材木工場の社長さん。兄弟3人でこの工場を1から立ち上げたそう。設備投資もすべて、だ。ビジネスチャンスを逃さない、目。

大連開発区 材木工場 飼い犬  大連開発区 材木工場 飼い犬
たくさん飼われていた犬。従業員のみなさんの癒しでもあるのだろう。休憩時間に、ほっと一息。


そして、この材木工場から車でほんの数分のところに、新しく巨大な日系企業の社屋が立ち並ぶ。
この、数分での景色の変化は圧巻。 急に店舗の雰囲気も日系・欧米系に変わり、歩いている人々も男女共に「ビジネスパーソン」ぽい。


2工場をじっくり見学した後、李さん(日本語ペラペラ)とビジネスの話をいろいろした。
彼は、必ず、すぐに切り返してくる。

「それ、どこで収益を出すの??」

彼は続ける。

「自分たちもこのままではだめ、常に新しいことを考えていかなきゃ。
中国でビジネスを進行するなら、どこの行政と つながりのある誰を抑えどう動くか、の情報が必須。そのためには、日ごろからうわべだけでない横のつながり を大事にしておく。
まっすぐ正面から門をたたいても誰も扉を開けてくれない。日本とはそこが大きく違う」


当日は、中国の「子供の日」にあたる祝日だったようだ。
子供たちが着飾って両親や祖父母と嬉しそうに歩く姿を多くみかけた。
大連でも都会にあたる中央公園や動物園に来場できる子供たち。
反して、開発区の中で精いっぱい着飾ってその中の店舗で買い物する子供たち。

高級車に乗り高層マンションに暮らす人。
月給いくらで一生働き、それ相応の買い物をする人。


その地域地域で世界を持ち、その世界観の中で成長し、結婚し、また子供がその同じ道を歩む・・・。
日本とは異なる政治主義と階級社会。
それは、たった1日開発区にいただけの私の胸にさえも、これでもかこれでもかと突き刺さる現実だ。

「頑張ればなんとかなる」可能性をまだ秘めている日本の「普通の人々」。
その生ぬるい意識に埋もれて生きている自分に気づく。


生命力。
それはすなわち、
産業を下支えする力、だ。
日本が忘れている気になっていること、は、なんだ。

大連開発区 材木工場近くにて 少女  大連開発区 材木工場近くにて 労働者たち
開発区奥の工場街。子供の日で淡いピンクのドレスで着飾った女の子。どこへ行くのか、遠方でないことは確かだ。通りでは、男たちが日中からテーブルを囲み将棋のようなゲームに興じている。


大連開発区 日系企業工場地帯風景
日系企業の大工場地帯。ほんの数分、ほんの数分で車窓はがらりと変わる。


大連開発区 日系企業工場地帯風景
工場だけでなく、街並みも、歩く人々も、一変。車で、ほんの、数分だ。

大連 中央公園 遊具
大連中心地の遊園地スペース。子供たちに人気の乗り物の背景には都会的な高層ビル。あいにくの雨の、子供の日。
あの材木工場近くの坂を歩いていた着飾った女の子は、ここには、来られない。

売る場所、中国。

大連 温州城

宿泊したホテルから東西に徒歩10分くらいの場所に、観光客が行く高級ブランド店でも土産品店舗でも市場でもなく、現地の、大連に住む一般の人々が買い物するビルと地下街があり、潜入した。

子供連れや若い女性の姿が目立つ。
ひとつの階に大量の小さな店舗が立ち並び、商品が所狭しと雑多に置かれている。
バッグ、洋服、靴、雑貨、おもちゃ、インテリア製品、iPhone関連商品(スマートフォンの普及率は日本以上ではないかと思うほど、大連では必需品のようだ)、・・・
値札はほとんどついていない。
買う側も「値切る」のが当然なのだという。



これは1度でも中国を訪れた日本人なら経験していることだと思うが、どの店の店員も、「いらっしゃいませ」「こんにちは」と客に笑顔を向けることはない。
一切ない。

そのかわり、”買う気ありそうに店内を見ている日本人”とわかると、ものすごい勢いで品物をアレコレすすめてくる。
断っても断っても何度も別の品物をすすめてくる。
財布売り場での攻撃がいちばんすごかった。

買う気があるかないか明確になるまでは、客ではないのだ。
さらに、客ならば、1元でもお金を落とさせようというパワー。


日本とは真逆だ。

日本なら、買う気がその時点であるかないかわからない入店者も顧客として大切に接する。必ず笑顔で、いらっしゃいませ。
たとえ購入がその時点でなくとも、次の機会に優良顧客となるかもしれないからだし、万一日本で中国のような接客態度をとったら、すぐ店長に苦情がいくだろう。
徹底した細やかな顧客サービスに気を配る。 誰も客がいなくても、立って待っている日本の店員。

中国では、客がいなければ、座っておしゃべりしたり食事をとったり自由気ままだ。
「その時点」「その瞬間」のみの接客。
それでもモノは売れる。売れるモノを売れる値段で置くからだ。

(なかなか店内で写真が撮れなかったのが、残念。
撮影しようとiPhoneをかまえると、店員さんがじろっとにらむ・・・)

大連 温州城 商品  大連 自販機裏
「原宿 LOVERS」??なリュック。このタイプをたくさん見た。「売れる」モノなのだろう。  そして、夜でも派手で元気の出るカラーの自動販売機裏側。シンプルな色合いより、こうしたカラフルな原色使いが街中に目立つ。
”カッコつけずに目を惹く”コンセプトがずんずんつたわってくる。



大連 ヘアゴム全くの私事になるが、ホテルで朝気づくと、スタイリングに必須なブラウンのヘアゴムがみあたらなくなった。
ホテルのアメニティにはヘアゴムはなかった。

困った・・サングラスをカチューシャがわりに外へ出た。
高級車ばかりが並ぶ歩道を歩き、朝コンビニに行ってみた。

あった、これだけのヘアゴム。 10本ほど束ねてあった、この一束で売っていた。

値段は、なんと、1元。
日本円にして15円・・・


では、1本1.5円・・・・・・ それが都会のコンビニでの販売価格だ。



このヘアゴムにも製造原価があり、この価格で収益をあげている会社があるということだ。
この価格設定の混沌はなんなのだろう。 ベンツ、BMW、アウディ、ベントレー、・・・ コンビニからの帰り道、高級車に目を奪われながら、入手した黒いヘアゴムの束を握りしめた。

大連 歩道の駐車場
高級車ばかりが駐車場に停まっている。このように、大連中心部では、歩道の一部が駐車スペースとなっている。


本当の姿を知ろうとすること、その先にあるもの・・・・・・

現地で本当にお世話になった株式会社ideaの松村社長は笑顔で言う。

「難しく考えすぎたり、カッコつけすぎたりすることに日本人は慣れちゃっていますよね。
ほんとうに素直な気持ちで、その国の人を理解し友達になり仕事上のつながりを持ちたいと思うこと、
片言でもいいから言葉を学んで、通訳でなく自分の言葉で会話して、その国その国の文化を肌で感じてみればいいのです。
日本と違って気をつけることが多いのも当然。文化が異なるのですから。
集団的集団主義(日本)   個人的集団主義(海外) この違いは本当に大きい。

そこを怖がって日本の中でだけものを考えるのではなく、異文化を知り、理解しようとすること。
自分のサポートするお客様にはすべて、その立ち位置で動き、お喜びいただいて、リピーターとなっていただいています。
セミナーでの講演も、普通にネットや本で調べればわかる・・という内容とは全然違うと思いますよ!」

大連 車道を横断する人々
かなりのスピードと交通量のなか、どんどん人が車道を横断してくる。自己責任、の4文字が頭に浮かぶ。運転も、横断も、慣れないと非常に怖い。
そう、今回この記事で紹介できたのは、広大な中国の、ほんの一風景である。
これが中国のすべてでもなく、私が感じた光陰も、ほんの一風景のひとつにすぎないのかもしれない。


車の数とスピードと対抗する歩行者の横断パワー。
おびただしいほどの車の流れとクラクションの音(日本と違い、クラクションは「自分がここにいますよ」という合図だそう。はじめて車で道路を 走っていると遠慮ないクラクションの音にビクビクする) 。

その車の流れを堂々とさえぎって横断歩道がないところでも平気で歩行者は横断する。
道路の真ん中で止まってでも渡ろうとするのが当たり前なのだ。
大人だけでなく、小さな子供を連れた母親でさえも同じだ。
子供に小さなときから身を守りながらの横断を教え込んでいるのだろうか。

異文化。

それを100%理解することはもちろん容易ではなく時間もかかるが、その存在を知ること。そしてそれを知ったら、つたえること。

産業構造を世界の枠で考える、まずはの第一歩がここにあるに違いない。


大連夜景 光
大連中心地の夜景、まさに、”光”の部分。眩しく、強く。

JAL大連支店長折口様
JAL大連支店 大連空港所長の折口さん。松村社長とは長年のおつきあい、帰りの飛行機チケットの件でほんとうにお世話になる。
異文化を熟知する、ビジネスパートナーの固い絆。




続編〜李さんからの、1通のメール。〜

7月6日20時、大連の李さんから、1通のメールが送られてきました。

遠くロシアとの国境に出かけていらしたという多忙の李さんが、驚くほど上手な日本語で、しかも飾らない本音の感想を送ってくださいました。
たった1度2日間中国に足を踏み入れただけに過ぎない私の書いたたったひとつの記事への、たった1人の中国人の李さんからの感想
でもその中に、響くもの、考えること、考えねばならないこと・・・

ヒントがたくさんあるので、原文のまま、追記公開させていただくことにしました。
李さん、ありがとう。

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大道寺 様 毎度 お世話になっております。

6月21日 松村社長は大道寺さんの中国訪問感想のアドレスを教えてくれました。
当時 僕は中国/ロシアの国境辺りでバタバタしてたもので 見えませんでした。
大連に戻ったら パソコンの調子が悪く、日本語で返信しようとしたが 文字入力が出来ず
やっと昨日なおったので 読後感を一語申し上げます。
返事が遅くなりまして、申し訳ございません。

文章を拝読しました。 唯 二日間で、さらっと見るだけで こんな意味深い文章を出来るのが不思議だと思います。
極端に話すと 地球人はこんな鋭さがないね!(笑う)
やはり 記者さんの目は 僕たち一般人と違いますね。
僕を含め製造業界の人間は 技術、品質などに対して 各ポイントを見るかもしれませんが
大道寺さん見たいに 日本・中国の製造業界、コスト比較、産業分配などの高さから見る目が確かに出来ません。

そして 片言でもいいから言葉を学んで、通訳でなく自分の言葉で会話して、その国その国の文化を肌で感じてみればいいのです。
日本と違って気をつけることが多いのも当然。文化が異なるのですから。
集団的集団主義(日本)   個人的集団主義(海外) この違いは本当に大きい。


と感受した点も 僕は大賛成!
当初 日本に渡って 日本語学校で言葉を勉強しました。
初めて覚えた諺は: 郷に入って 郷に従う です。 言ってることも 大道寺さんの感想でしょう。

6月1日から 人民元と日本円は米ドルを飛び越して 直接レート換算になりました。 
これから 日中は貿易から色んな面でもっと緊密になるだろうとの判断です。
日本の方々がよりよく 中国の事を詳しく研究すべきだと思いますし、中国人も日本のことを学ばなければならないでしょう。
これから 僕と松村社長は日中貿易、日中友好に少しだけでも貢献出来るように頑張りますので 大道寺さんに宣伝方面で力になって頂きたいと思います、
是非 宜しくお願いいたします。

最後 香港映画はいい発想ですね。 ^-^

日本語下手で メチャクチャな文章申し訳ございません。

大道寺さんの再度訪中を (鶴みたいに首伸ばして) お待ちしております。  ^−^

どうぞ 宜しくお願いいたします。

大連 李

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