奨励賞 有限会社ティーケイトインターナショナル

代表取締役: 金井 加代子
所在地: 〒253-0063 茅ヶ崎市柳島海岸8-29
設立: 2001年2月 従業員: 6名
資本金: 300万円
TEL: 0467-87-2007 / FAX: 0467-83-9593
産業Naviページ: http://www.navida.ne.jp/snavi/100340_1.html
公式ページ: http://www.t-kate-int.co.jp/

ネオクラフト事業

弊社はオーダメイドにこだわり35年間、茅ヶ崎でウェットスーツを製造しております。売上が2011年3月東日本大震災の発生後一変して閉店を覚悟する程に激減しました。
そのような中、2020年東京オリンピックでの追加種目としてサーフィンが決定となり、ウェットスーツの需要が高まることを期して、再建に向け弊社独自の技術を集大成とした本事業を立ち上げました。今までウェットスーツの生地に施されていない昇華技術を長年の研究により可能にし、新たな価値を生み出す“アップサイクル商品”を主軸に商品の企画開発及び製造で先駆的なジャパンブランドを目指します。
NeoCraft
 

危機の中で長年の課題を克服

夫婦二人三脚

 
有限会社ティーケイトインターナショナルは2001年設立。ウエットスーツの製造、卸、販売を行う、「中小、というよりも零細企業。職人が手作業で一着一着手づくりする会社です」と同社代表取締役・金井加代子氏は微笑む。ご主人の照明氏が開発部門を担当。自身もサーファーであり、クライアントからの要望を懇切丁寧に聞き出し、着心地などを確認しながらじっくりと仕上げる。それだけに採算を考えず、よいものを追求することを最優先にしている。自分はつくることに専念したいからと、加代子氏に経営面を任せた。
加代子氏にサーフィンはなさるのですか? と質問すると、まったくしないとの応えが返ってきた。「それだけに経営に集中でき、夫婦二人三脚で細く長い商売をしてきました」
ウエットスーツの受注は、秋口〜翌年のゴ ールデンウイークまでがピーク。夏は閑散期である。この時期をどう乗り越えるかが、加代子氏にとって課題であった。照明氏を講師に、茅ケ崎の海でサーフィンの体験教室を開講。夏にサーフィンの楽しみをまずは知ってもらい、涼しくなる頃、ウエットスーツの着心地をアドバイスしながら仕立てるなどの展開を行っていた。
ところが、季節を度外視する危機が同社を待っていたのである。
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未曾有の危機

 
2011年3月11日、東日本大震災発生。これを機に、ウエットスーツの注文が激減する。海のレジャーを避ける傾向になったのだ。津波で多くの方が亡くなった海で遊ぶのはどうかという風潮があった。原発事故の漂流物についての風評被害も影響した。
「未曾有の事態は同社も激震地と一緒」で、営業の継続が不可能になりつつあった。
社の経営が厳しい時ではあったが、教育関係の活動をする加代子氏は、神奈川県内の高校生、大学生に同行し、宮城にボランティアに出かけた。津波の被害が大きい現地では、漁業ができない状況にあった。しかし、そこで、破れた漁業網をハンモックに再利用する試みを目撃した。
「ウエットスーツの生地ネオプレーンは、保温性、クッション性、浮力、撥水性を持っています。この特徴を、なにかに活かせないものかと考えたのです」
加代子氏はピンチをチャンスに変えるべく、同社の持つ技術を洗い直した。長男と嫁、嫁いでいた長女も協力してくれると言ってくれたのが心強く、経営を続ける覚悟を決めた。
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昇華というプリント技術

 
加代子氏は防災ベストをつくることに思い至る。ネオプレーンの特徴を充分に生かすことができる製品だった。そしてもうひとつ、同社ならではの技術を発揮することもできる。ゴムの両面にジャージ生地を貼ったネオプレーンは伸び縮みするため、アイロンプリントが劣化したり、ひび割れたりする。同社では、昇華という熱をかけてインクを塗布するプリント技術でウエットスーツを染めることに成功。防災ベストにも、〔救護班〕などの部署名や自治体名を印刷することを可能にした。
ネオプレーンは温度や湿度の違いで昇華プリントの圧力調節、加圧時間、温度のダイヤル調節が異なる。それを長年培ったデータで克服したのだ。
防災ベストのほかにも、釣り上げた魚の写真データをネオプレーンにプリントしたク ッション『魚拓ッション』などユニークなオンリーワンアイテムをつくる注文に応えるようになった。
「危機の中で長年の課題だった閑散期を克服する術も見つけたのです」
ペットロスの中にあった年配女性からのリクエストで、愛犬のダックスフントの等身大クッションをつくり、涙にくれる姿を見た時には強い感動を覚えたという。そして、海が平和を取り戻した今、ウエットスーツの受注も戻りつつある。昇華技術を最大限に発揮してきた同社は、これからは黒一色のイメージがあるウエットスーツに、オンリーワンの柄染めという革命をもたらせようとしている。
「サーフィンが東京オリンピックの正式種目に決まり、日本の選手が江戸小紋などの古風な柄をイメージしたウエットスーツで活躍してほしいと考えています」
トライアスロン用のウエットスーツを手掛け、タイムの更新に貢献した経験がある為、オリンピックでも期待が高まる。社名のティーケイトは「T(トップ)」になる為の「KATE(糧)」に掛けているが、「もうひとつ加代子のKAと照明のTE―いつまでも仲良くやっていこうの意味なんです」と満面の笑みを浮かべた。
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