優秀賞 ものづくり部門 ジャパンプローブ株式会社

代表取締役社長: 小倉 幸夫
所在地: 〒232-0033 横浜市中区中村町1-1-14
設立: 1979年8月 従業員: 41名
資本金: 5,500万円
TEL: 045-242-0531 / FAX: 045-242-0541
産業Naviページ: http://www.navida.ne.jp/snavi/100333_1.html
公式ページ: http://www.jp-probe.com

超音波プローブ曲探・柔探

湾曲・凹凸のある硬い工業製品、形の変わる柔らかい人体にもフィットする超音波プローブ曲探・柔探は、振動子、整合層、ダンパー材による独自の三層構造により、従来のプローブの課題を解決致しました。
平面、曲面、凸凹など被検体形状ごとに異なる仕様が必要な従来のプローブに比べ、一台で幅広い超音波検査ができる曲探・柔探は非常に高いコストパフォーマンスを発揮します。
広帯域かつ高感度の超音波検査を実現し、超音波特性の面で検査難度の高い被検体へも適用が可能です。
超音波プローブ 曲探・柔探
 

新しいマーケットを開拓し付加価値を加える

プローブとは検査対象に接触する製品

 
2011年に「空気中で計測可能な非接触超音波検査システム」で、産業Navi大賞のフロンティア部門大賞を受賞。
「今回、優秀賞を受賞するまでのこの7年間で、もっともビッグニュースは横浜スタジアムで始球式をしたこと」
ジャパンブローブ株式会社代表取締役社長・小倉幸夫氏は、冗談とも本気ともつかぬ口調で言う。
「“地元に面白そうな社長がいる”っていうんで誘いがかかったの。こっちも“いいんでねえの”って、引き受けちゃいました」
野球などしたことはなかった。硬式ボールが送られてきて、2週間練習した。本番の横浜ベイスターズ対広島カープ戦では、18.44メートル先にあるキャッチャーのミット目がけて全力投球した。カープのトップバッター丸選手のバットは空を切り、ハマスタのカラービジョンには〔超音波プローブの製造販売メーカー〕と同社の事業内容も紹介された。
「あの5分間、球場の主役だったな。いっぺんにベイスターズファンになっちゃった」
しかし、超音波プローブという言葉を、客席を埋めた人々のうち、どれほどが理解できたろう?プローブとは、探触子。測定や実験などのために、検査対象に接触する製品である。
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研究開発型企業として

 
1979年、原子力発電所の超音波検査用のプローブをつくる会社として設立されたのが同社だ。
当時、プローブは海外からの輸入品を用いることがほとんど。これを同社が製造販売し、ビル、電車、新幹線の車軸、化学プラント、トンネルなどの検査に広く用いられるようになった。
大手メーカーで40年以上超音波検査装置の研究開発にかかわってきた小倉氏が、代表取締役社長として同社を事業承継することになった際、心に誓ったのは、「研究開発型企業にしよう」ということだった。プローブをつくるだけのモノづくりメーカーでは、成長が難しいと考えたのだ。
パルサがプローブに働きかけ、人の耳には聞き取ることのできない超音波を発信する。超音波は、被検査物に破損箇所がなければ、そのまま通り抜ける。ところが、なんらかの異常があった場合、跳ね返ってくる。それをふたたびプローブが感知し、レシーバが返ってきた超音波を受け取る。そして、跳ね返ってきた超音波をコンピュータで画像化するのが、超音波検査システムである。
同社では、パルサ・レシーバの製造も行うようになった。
もちろん、それだけにとどまることはない。プローブを被検査物に接触させる際、ゼリー、潤滑油、水などを被検査物に塗る必要がある。これは、プローブを被検査物に直接当てた場合、そこに隙間ができてしまい、プローブから発信した超音波が通り抜けないからだ。超音波は、なにを通り抜けないのか?空気である。そう、超音波は、空気を通過しないのだ。超音波はゼリーなどの接触媒質を通ることでこそ、被検査物に届くのだった。しかし、ゼリーや水などを塗ることができない被検査物もある。自動車のブレーキがそうだ。ほかにも多くの精密部品がある。電気自動車が搭載するリチウムイオン電池には、水は禁物だ。接触媒質のいらないプローブ―2011年に産業Navi大賞を受賞したのがこの非接触超音波検査システムであった。
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曲がるプローブ

 
同社が新たに挑んだのは、湾曲や凹凸のある硬い物や、形の変わる軟らかい物にもフィットする超音波プローブである。
超音波プローブは、セラミック製である。高い周波数のプローブほど、このセラミック板は薄くなる。超音波は空気を通過しないため、感度を良くするため接触面を多く取ろうとするが、セラミック板では、凹凸面や曲面との間に隙間ができてしまう。
同社が開発したフレキシブルリニアアレイプローブ『 曲探 』が、これを解消した。
曲げたり、たわみを持たせることができるので、さまざまな形状の被検査物に対応が可能だ。構造はこうだ。曲探は3層構造になっている。コンポジットと呼ばれる超音波プローブの振動子はセラミック板だといったが、ここに精密加工機でナノレベルの切れ込みを入れ、そこに樹脂を流し入れることで、曲がるソフトプローブをつくり出したのだ。これにより、表層欠陥の検査が可能になった。表面直下の欠陥、近接欠陥、超音波減衰の大きいCFRP、GFRP、アルミダイキャストなどにも適用する。
単に被検査物にフィットさせただけではない。コンポジットを吸音性のあるダンパー材と感度を向上させる整合層でサンドイッチすることで、高感度、高分解能のプローブとなっている。検査対象という観点では、航空機の主翼などの湾曲、鋳物やガス溶接した凹凸部分などにもワンタッチかつ高解像で検査が可能である。
小さい窪みや、狭小な部分にはプローブの先をカートリッジタイプにした超音波ソフトプローブ『柔探』をラインアップ。溶接部分の隅肉や鋼材の狭小溝部などにも、細いペンシル型のプローブが侵入して検査が可能だ。
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独自技術を持ち自分の足で立つ

 
製品のキーパーツであるコンポジット振動子を自社内で製作しているため、模倣できないことが最大の強みだ。
また、キーパーツだけでなく、肝になるダンパー材など3層構造の部品のほとんどが自社製品。部品を自社開発し、完成品プローブまで組み上げるメーカだからこそ、顧客の要望に応じて柔軟なカスタマイズ対応がとれ、さらなる高性能化、高いユーザビリティを発揮している。
この研究熱心さが、ソフトプローブを生んだわけだが、セラミックに樹脂の溝を入れようという発想は、「プローブを曲げようとしたのではなく、感度を上げるために研究する中で生まれたもの。樹脂を入れてやることで、柔らかい音が伝わるというスタッフの発想があった」のだそうだ。
今後の注目市場としては、医療分野が挙げられる。現在進行中の案件として、整形外科、歯科など多彩な分野で注目を浴び、医療現場や先端の研究現場から今までになかった製品として多種多様な実験に用いられている。工業非破壊分野から市場規模の大きな医療分野へ乗り出す可能性を秘めているわけだ。
「今あるものを安くするのではなく、新しいマーケットを開拓し、付加価値を築くのが当社です」と小倉氏は胸を張る。
今までなかった検査機の開発は、今まで不可能であった検査ができるようになること。それは社会の安全、安心を担保することにつながり、新しい発展にも寄与できる。「独自性のある自社製品の開発は、会社のブランド力を高めます。看板製品を持つことで社員の士気も上がる。中小企業が自社の技術でもって、大企業に運命を左右されることなく、自分の足で立つ。それが雇用の促進にもつながり、社会へ貢献することにもなります」
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