特別賞 株式会社 西松

代表取締役: 湊 素文
所在地: 〒238-0243 三浦市三崎5-18-9
設立: 1952年10月 従業員: 15名
資本金: 1,000万円
TEL: 046-881-4127 / FAX: 046-882-6990
産業Naviページ: http://www.navida.ne.jp/snavi/100206_1.html
公式ページ: http://nishimatsumaguro.com

まぐろコンシェルジュ(専門家育成)と商品供給の取り組み販売

三崎港へのマグロ船誘致と漁業の存続を目指すため適正価格での買い上げを目的とした流通基盤を作るため、ブランド化したまぐろを取組み先とのライセンス契約を結び販売。
商品提供と販売支援、MD作成、イベント案と売り場提案を行うトータルサポートを行い、2014年よりまぐろの専門知識を消費者に伝えることのできるプロの育成(まぐろコンシェルジュ)認定プログラムをパッケージとして販売。消費者に頼られる魚売り場を取組み先売場にて展開している。
 

スーパーの売り場をかつての商店街に

廻船問屋

 
フォークリフトが運んできたのは2t半まで搭載可能な巨大な金属バケットだった。覆われたシートの下には尾の切断面をこちらに向けた冷凍マグロ30匹ほどが積まれている。いきなりの豪快な風景に、まさに三崎漁港にいることを意識する。
バケットはそのまま株式会社西松の320t収容可能なノンフロン冷凍庫へ。マイナス60度の庫内に入ると、猛暑日の外界がすぐさま懐かしく感じられてくる。吐く息が真っ白に立ち上り、まさに骨の髄まで凍りつくようだ。長居は無用、事務所でお話を伺うことにする。
「マグロの遠洋漁業に出かけていくための準備をする会社」と、同社代表取締役・湊素文氏が廻船問屋について説明してくれた。
準備とは乗組員らの食糧や、マグロの延縄漁のエサを用意することである。1本の幹縄に、釣り針を先端に付けた枝縄を浮きで張る漁法が延縄漁だ。イワシ、サバ、サンマなどの青魚がエサになる。廻船問屋として西松は1894(明治27)年に創業した老舗である。
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マグロ漁港の盛衰

 
戦後、連合国総司令部から解放され、マグロ漁が自由化されると、清水、焼津とならび三崎はマグロ三大漁港といわれるようになった。漁港規模が大きく、近辺に加工メーカーがあったことから、清水と焼津は特に加工向けのマグロが扱われた。これに対し、京浜地区からの流通の便がよかった三崎は、生マグロに適していた。沖から漁船が入るのに、三崎の岸壁は便利でもあった。
生マグロが木箱に氷詰めで水揚げされてくる。漁船は引きも切らず、港に入る順番の列ができた。何千本とマグロが並べられて競りにかけられる光景は壮観だった。
「当時、三崎町の住民は3万5千人ほど。それに加えて住民票のない住民が1万5千人ほどいました」と湊氏が振り返って笑う。皆、マグロ漁船の船員とその家族である。
船員らはいったん漁場に出ると10〜11カ月は戻らない。帰るのは、マグロで漁船がいっぱいになった時だ。三崎のレコード店が売り上げ日本一になるという珍現象も起こった。船員たちがヒット曲のSP盤を、長い航海に備えてケース単位で買って船に持ち込むからだ。
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取引ではなく取組

 
ところが近年、マグロの水揚げが激減し た。海洋生物資源の保存および管理のため、国際的な漁獲規制が敷かれたからだ。マグロは捕れないというよりも捕りづらくなってしまったのだ。廻船問屋西松も宗旨替えを迫られる。マグロの加工販売(ブロックをスーパーなどに卸すこと)を行うものの、価格競争に巻き込まれることになった。
価格ばかりが重視されることは、本来の商いではないと語るのは、同社専務取締役・相原宏介氏だ。「お客さまが、いつもこのお店に行けば、おいしいマグロを買うことができる。安定したものを、安定して供給することを西松というブランドが保証しようと思ったんです」
そのために徹底的な選別力を取り入れた、ぶれない商品づくりを行った。
「マグロを四つ割りにした時、すべての部位が同じようによいとは限りません。当然、マグロには個体差があるからです。西松では、お店にあった最適な、その最上ブロックのみを提供します」
ただし、売る側にも覚悟を問う。「お客さまに対して、商品のよさをきちんと伝える気があるか?ライティングなど売り場での見せ方にもこだわって適した方法をご提案させていただきます」と相原氏。「それが確認できて売買契約を結び、はじめてサンプルをお出しします。販売店のお客様のニーズを理解しそれに見合った商品にMD提案を付加し販売していただきます。私どもは取引をするつもりはありません。販売店と一緒に取り組んでお店にあった最適な、最上のマグロを売るのです」
内閣府主催の食の6次産業プロデューサーに認定されている相原氏は、販売店スタッフ向けに「まぐろコンシェルジュ」認定講習を主宰。マグロとマグロ漁に関する講習から始まって、マグロ料理の実技指導まで、全4回のカリキュラムと試験を経て、マグロのプロフェッショナルを売り場に輩出している。「かつて個人店には、その道のプロがいました。鮮魚売り場にマグロのプロが生まれれば、精肉売り場には和牛のプロが欲しくなるはず。そうやって、スーパーに小さな商店街を復活させたいんです」
水揚げされた生マグロの流通が関東から東北までだったせいか、九州、中四国はマグロの食文化に乏しく、相原氏は積極的な活動を行っている。西松が三崎マグロを全国にプロモーションしていく。
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