奨励賞 株式会社ハートフルタクシー

代表取締役: 飯田 隆明
所在地: 〒243-0406 海老名市国分北4-2-3
設立: 2006年12月 従業員: 75名
資本金: 100万円
TEL: 046-292-3336 / FAX: 046-234-4448
産業Naviページ: http://www.navida.ne.jp/snavi/100199_1.html
公式ページ: http://www.heartful-taxi.co.jp

女性の働きやすい環境整備と、ママさんドライバーの積極的採用によるサービス拡充
タクシー業界初の事業所内無料保育施設開設(神奈川県労働局認定)

超高齢化社会に伴い、この数年で急激に高齢のお客様の比率が高くなったことを鑑み、思い遣りとやさしさに長け、介助にも慣れている女性ドライバーを積極的に採用すべく努めてきました。しかしながらタクシーという特殊性があるためか応募も少なく、せっかく採用に至っても様々な理由で退職する方が後を絶たない状況が数年続きました。そこで思い切って2014年11月から事業所内に保育施設を開設し無料で女性ドライバーのお子様をお預かりすることとし募集をかけました。結果、2〜3ヶ月で予定していたMAXのママさんドライバー12名を採用することができました。保育士さんも午前番と午後番に分けパートタイムで募集したところ10名の国家資格を有する保育士さんを順調に採用することができました。昨年10月にはその実績が認められ神奈川労働局の「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」の認定を受けることができました。このことによって全体の3割以上が女性ドライバーとなり、特に日中は半数以上を占めるに至っています。恒例のお客様からは「安心して利用できる」と好評を博し、以前よりもさらに高齢のお客様のご利用が増えました。平均乗車時間も稼働が向上したことにより3割ほどスピードアップしました。また慢性的な労働力不足もほぼ解消することができ、当初はいろいろな意味で不安もあったのですが、今となっては本当にチャレンジして良かったと実感しています。さらに、以前は男性がほとんどを占める職場でしたが、女性が増えたことで雰囲気も明るく柔らかくなり、さらに楽しい職場へと変貌したことが想定外の効果でした。これからも積極的にママさんドライバーを採用し、女性の優れた感性をタクシー事業に反映させ、タクシーの持つ負のイメージを払拭していきたいと願っています。
 

女性の力を最大限引き出すために

声にならない声に応える

篠原副社長

篠原副社長

ひとつの点景がある。株式会社ハートフルタクシー取締役副社長・篠原俊正氏が昼食を終え、店を出た時のことだ。自社のタクシーが眼下に停まった。篠原氏が食事した店は長い階段の途中にあったのだ。運転席の扉が開くと社員のドライバーが現れ、客席になにか声をかけている。高齢の男性客が下車し、ドライバーが荷物を持ち、男性客の手を引いて階段を上がってくる。そして、篠原氏が出てきた店の向かい側にある老舗の蕎麦屋へと入っていった。ドライバーが出てくると、今度はタクシーから老婦人が降りるのに手を貸し、荷物を持って、足もとを気にしながら手を引いて蕎麦屋へと導いた。
その日のうちに老夫妻から会社に電話が入った。「ぜひまたお宅のタクシーを使いたい。また、同じ運転手さんをお願いします」と。篠原氏は、帰社した先ほどのドライバーに「お客さまから頼まれてされたことですか?」と訊いてみた。同社は、ドライバーが玄関先まで迎えに行くのが原則である。その際「いいえ、お二人とも御御足(おみあし)がゆっくりでしたので、そのご様子を見て提案することに決めました」
これが“お客さまの声にならない声にお応えするサービス”である。「言ってされるのではなく、思ってもみなかったことをされた時に感動が生まれます。そして、思ってもみなかった感謝を伝えられた時、ドライバーも感動するのです」
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選ばれるタクシーに

2006年12月、ハートフルタクシーは創業した。長らくタクシー業界に携わってきた同社代表取締役社長・飯田隆明氏と篠原氏にとって、地元・海老名市に理想のタクシー会社をつくりたいというのは夢だった。その理想とは、接客に徹底的に特化することだった。
それも、タクシー業界の中で、接客ナ ンバーワンを目指すのではない。サービス業界全体でナンバーワンの接客を目指すことを目標に掲げた。そのために駅出し(駅前で車列に加わり、順番に客を乗せる)をやめ、電話依頼専門とした。
業界内では驚きの声が上がったという。タクシー利用は駅出しが8〜9割を占めていたからだ。電話で呼ばれても、すぐには到着できない。だからといって市内だけの利用では収益が見込めない。篠原氏は、開業前に徹底的なリサーチを行い、20分までなら待てるという情報を得、その時間内でラインを引くと30万人余りが商圏となった。よし、行ける。だが、それには「ハートフルに乗りたい」「ハートフルでなければ」という選ばれる会社にならねば。
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女性力

ママさんドライバー・事業所内無料保育施設
ドライバーも、スタート時から他分野からの採用がほとんどだった。営業職、サービス業からの転身である。「タクシー経験者としていったん身についてしまった習性は、頭では分っていても、なかなか拭い去れないものがあります。私たちはまったく新しいタクシー会社を目指していたんです」。それだけに、教育も大変だった。
しかし、それをドライバー未経験者らは砂に水が染み込むように吸収していく。だが、篠原氏には不満もあった。女性ドライバーが少ないことである。全国のタクシー業界で占める女性ドライバーの比率は1〜2%程度。「接客サービス業と認識している私には信じられない数字です」
同社の割合は10%と多いほうではあるが、近年の絶対的な労働力不足を補ううえで、また、超高齢化の中で、年配客への思いやりや配慮、親しみやすさという優位性からも、女性ドライバーは必須と考えていた。なにより篠原氏はタクシーのイメージをドラスティックに変革したかったのだ。学生時代、今の妻とデートした帰りに、車で家まで送り届けようとすると後ろからタクシーにあおられた。自分自身にもタクシーにはそうしたがさつで粗野なイメージがある。それを覆したいのだ。
「もっとも、その妻の実家がタクシー会社だったわけですが」と笑う。
せっかく獲得し教育した女性ドライバーも家庭の事情で辞めてしまう。その一番の理由とはなにか?子育てである。篠原氏は社内に無料の保育施設を開設した。結果的に2カ月以内に10名のママさんドライバーの採用が決まった。苦労したのは国家資格を有する保育士の確保だった。だが、こちらも保母をしている娘からの助言で、フルタイムではなく午前・午後の2交代制にしたところ解決。
ここには保育施設不足問題に対するひとつの解答、見識があるように思える。同社では子どもたちが幼稚園、小学校に入学した際には預かり保育料・学童保育料を全額負担することで支援。子育てがひと段落したのちには、パートから正社員希望するママさんドライバーも多い。
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