優秀賞 販売部門 株式会社スリーハイ

代表取締役: 男澤 誠
所在地: 〒224-0023 横浜市都筑区東山田4-42-16
設立: 1987年5月 従業員: 25名
資本金: 1,000万円
TEL: 045-590-5561 / FAX: 045-590-5571
産業Naviページ: http://www.navida.ne.jp/snavi/100193_1.html
公式ページ: http://www.threehigh.co.jp

既存商品(ヒーター)とのセット販売を狙った、温度コントローラ「monoone」シリーズの開発

当社は、産業用電気ヒーターを製造するメーカーです。
お客様の「熱に困った」のお問合せからオーダーメイド、1つずつ職人の手作りでヒーターを製作販売しております。
ヒーターには必ず温度制御が必要であったこと、顧客の要望が強かったこともあり、温度コントローラー「monoone」をシリーズで開発、製品化したことで、ヒーターとセットで販売し売上を大幅に伸ばすことに成功しました。
 

“ヒーター屋”から“温める会社”へ視野を広く

見えない場所で活躍するヒーター

代表取締役 男澤誠氏
ヒーターという言葉からまず思い浮かぶのは箱型の暖房器具である。「それだけではありません。電子レンジも炬燵も熱媒体をつかうものはすべてヒーターなのです」と優しく微笑みかけるのは株式会社スリー ハイ代表取締役・男澤誠氏である。
「そして、当社が扱うのは、そうした家庭用ヒーターではなく。主に工場内の生産設備に使われるヒーターです」
男澤氏が示したのは、テーブル上に置かれたオレンジ色の長方形の薄いゴムだった。 スリーハイは、このシリコンラバーヒーターを製造販売する会社として、男澤氏の父が1987年に創業した。
しょう油、練り歯磨き剤などはタンク内で調合や加工が成される。このタンクを温めるところにニーズがあるのがシリコンラバーヒーターだ。たとえばチョコレートを輸入する場合、凍った状態でタンクで運ばれてくる。これを火でぐつぐつ煮立てることで急速に溶かすと味に変化を起こしかねない。シリコンラバーヒーターをタンクに巻き付けることで、伝熱でゆっくりと溶かしていくのだ。
ほかにも、モノレールの凍結防止や、パラボラアンテナの積雪対策などに需要がある。身近なところでは、洗面所の鏡の裏側に貼られ、曇り止めの役割を務めている。さまざまな場所で、そして見えない場所で、サイズや形を変えて活躍しているヒーターなのである。
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畑違いの営業マン

男澤氏は2000年に入社。以前は大手企業でシステムエンジニアとしてソフトウェアの開発をしていた。「父の会社には、まったく興味がありませんでしたね」
90年代後半、ホームページという言葉が使われ始めた頃、サラリーマンだった男澤氏は父の会社もこれをツールとして商品紹介していくのもいいだろうと、余暇にHP制作を行った。それがスリーハイを知る端緒だった。ところが父が病を得て「少し気が弱くなっていたのでしょう“この会社に入ってみないか?”と言われました」
雇っている従業員とその家族のことを考え、男澤氏は入社を決意する。営業職に就いたものの、まったくの畑違いで苦労した。経営、営業、製造、すべての第一線に立って指揮を振るう父の姿を見て、電話の取り方から図面の書き方まで学んだ。営業先から戻って、初めて〔注文書〕とあるFAXが入った時には嬉しかった。
やがて毎月の売り上げをしっかり確保できる営業マンに成長した頃、リーマンショックで会社が大打撃を受ける。業績がどん底となった2009年、男澤氏は社長に就任する。「“もう下がりようがない。上がればおまえの成果だ”父はそう言いました。私に継がせるこの時期を待っていたのかもしれません」
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黒子からメーカーへ

シリコンラバーヒーターの製作
危機にある中で男澤氏が認識したのは、これまで同社が、大手1社に受注を依存していたことだった。
これまでは、言われるままにヒーターをつくって納品する“ヒーター屋”だった。これでは視野が狭い。見回せば、保温のためのシリコンシートや、シリコンチューブなど商材があるではないか。そうだ、もっと視野を広げるのだ。“温める会社”にドメイン変更し、自分たちの持つ商材を増やそう。
“温める会社”として、客先の熱の困りごとに耳を傾ける中で、温度調節器を欲しがる声が多くあった。温度コントローラを製造販売したことで、ワンストップになったばかりではない。これをmonoone(モノワン)というブランド名でマーケットに出した。ものづくりの現場の声をカタチにした、唯一のコントローラという意味からである。
「スリーハイがあってのmonooneではなく、コントローラがひとり歩きするためのブランド名です」そこには、スリーハイ製ヒーターの専用コントローラではないとの意味合いも込められていた。
こだわりは3点。@ 日本製であること。 A 顧客ニーズに合わせてラインアップを複数持つこと。 B 誰にでも簡単に使えること。
デザイン性も重視したコントローラ、monooneシリーズは、このブランドを入り口にシリコンラバーヒーターを購入する相互性も発揮されている。
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お客さまと地域を温める

地域との交流
社長に就任したばかりの頃だ。急に〔代表取締役〕という肩書の入った名刺を持つようになってもぴんと来なかった。そこで、経営塾に通った。通ってきているのは、急遽、二代目、三代目として経営を継ぐことになった境遇の、年齢的にも近い同期生たちで皆も路頭に迷っていた。彼らと語り合うことで、男澤氏は心が和んだし、勇気づけられもした。
ある時、塾の課題で自分の考えたビジネスプランを発表することになった。男澤氏は「ものづくりで顧客から喜ばれるだけでなくこれからは地域社会から必要とされる会社になって、より差別化を図っていく」―そんな発表をしたんです。しかし、先生からは“この場は、男澤さんの夢を語るものではない”と言われてしまいました。まあ、確かにお金を稼がなければビジネスとは言えないわけですからね」
しかし、男澤氏は、その時の“夢”を忘れてはいなかった。
2010年より、横浜型地域貢献企業の認定を受け、12年より最上位認定を維持している。具体的な活動としては地域に工場を開放したオープンファクトリーや地元小学生を対象に東山田工業地域ツアー「まち探検」などを定期的に開催している。本年度からは学校のプログラムとして採用されることも決定したのが、monooneを使用し、子どもたちにヒーターの温度コントロールをしてもらい、ものづくりへの興味を導いていく。また、中学生、高校生の職場体験では、ものづくりの現場に入ってもらい、 monooneのセットアップをはじめ、ヒーターの製造を体験してもらっている。こうした活動により、14年には「かながわ子ども・子育て支援大賞特別賞」を、15年には県内初となる「よみうり子育て応援団大賞奨励賞」を受賞した。
地元の人々に親しまれるように考案された“ひぃ太くん”“つづきじぃ”などのキャラクターに囲まれながら男澤氏は「これから冬に向かって、当社はますます忙しいシーズンを迎えます。冬はお客さまを温め、夏は地域を温める会社―それがモットーです」
もちろん新製品への取り組みも忘れていない。「あくまで主役は社員です。社員のアイディアを手助けするのが社長である私の役割なんです。お客さまから“ありがとう”と言われるのはもちろん嬉しいですが、私がもっとも幸せを感じるのは、社員らが生き生きと働く姿を見ている時です」。かつて黒子だったヒーター屋は、温めるメーカーへと変貌を遂げた。
「産業Navi大賞優秀賞の受賞でモチベーションは上がりましたが、ゴールではなく途中の景色。これからも製造業界の中でトンガっていきたい」と、あくまで優しい笑顔で気を吐く男澤氏だった。
社員一同
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